COLUMNIST

COLUMNIST
 
〜 私の過ぎ去りしおもひでを懐かしもうではないか 〜
 

 
− 目次 −
『 2009年05月14日 ユーザー車検。 』
『 2009年05月07日 読む価値ほども無いオレのGW。 』
『 2009年04月22日 願望。 』
『 2009年03月10日 黄色い帽子のちゃぱロン。 』
『 2009年02月16日 ちょっといい話。 』
 
『 2009年05月14日 ユーザー車検。 』
 って言うんですか?
 
 今の相棒に乗り換えて早2年、その後初めての車検を受けなければならない時期がやってまいりました。
そこで、元相棒の仕様では到底叶う事も無かったであろうユーザー車検というシステムを利用すべく、自分で陸運局に車両を持ち込んで検査を受けてきました。
 と、書いてしまうとあたかも自分一人でユーザー車検をこなしてきたかのように見えますが、けっしてそんな事はありません。。。実際に車検場で検査を受けたのはやはりここ一番頼れる漢(おとこ)、我がクラブのリーダーであります。
 
 我が家の床の間に掲げられている相棒ヘリクラ君のカスタム・コンセプト十か条の一番目の項目として「車検に受かる合法バイク」という一文があるのですが、それに従って普段走っている状態のほぼそのまんまで受けに行ってみました。しいて挙げればミッションのシフトレバー近辺にシフト・ポジションを表示した“1-N-2-3-4-5”と書かれたシールを作って貼ってみたぐらいです。
(あ、ちなみに十か条なんて貼り出してません。ウソです。ごめんなさい。我が家には床の間もありません。。。)
 
 さて、昨日午後1時。
“出来る漢(おとこ)・ザ・リーダー”と共に陸運局までバイクで乗り付けると(←ココ重要です! 実際に走って出向き、車両を暖めておかないと排ガス対策用の触媒が反応しない場合があるようです)、リーダーはあらかじめ用意してあった書類一式を手に(←このあたりが“出来る漢”ね)、一番近くの建物に入っていく。
 「フムフム、まずはこの建物から攻めるのか…」と思いながら自分も付いていくと、何やら書類の一部を窓口に提出して金を払っている様子のリーダー。そんなリーダーの右後方約5mの位置であたりをキョロキョロとする最近坊主頭にしたばかりの自分の目に入ってきた窓口の看板から察するに、どうやら自賠責保険代金とか各種税金的なものを払っているようだ。
 傍らに設置されたテーブルで一生懸命書類に書き込んでいる他の受験者達を横目に、約1分15秒と言うもはや神がかり的な速さでこの場での手続きを終えた“出来る漢(おとこ)・オブ・ザ・リーダー”は「次あっちね」と言いながら約30m離れた別の建物に向かって歩き出す。
 そのすぐ後ろを「勝手知ったる〜」とはこの事だな、とか思いながらホイホイと付いていく自分。
で、建物内に並ぶ色んなカウンターには見向きもせず真っ直ぐに一番奥まで突き進むと、ありましたよ「ユーザー車検受付」の窓口が。
 ここでも傍らのテーブルにしがみ付き一心不乱に書類に書き込んでいる他受験者をかわして、あらかじめ記入済みの書類を提出する“違いのわかる漢(おとこ)・ザ・リーダー”。
 これまたものの数秒(←ちょっと大袈裟)で手続きを済ませると「じゃ、ラインへ行こうか」と、つい先ほどバイクを停めた場所に向かって踵を返す。
 
 さて、いよいよ本番とも言える車両の検査を受けるわけですが、そんな重要なシチュエーションでバイクに跨るのはもちろん自分ではなく“違いのわかる漢(おとこ)・ワールド・オブ・ザ・リーダー”ね。。。
 「そこ左に曲がったトコだから」と、20mほど先の左コーナーを指差しながら簡潔なセリフを残してヘリクラ君で走り去るリーダーを若干小走り気味に徒歩で追いかける自分。
 
 そんな自分が検査場所の見える位置まで到着したときには我が相棒は既に検査ライン上で受検中。。。
ランプ類の作動チェックやら排ガスのチェックをしているであろう光景とかブオ〜と言うなんとも不甲斐無い相棒のホーン・サウンドなんぞが聞こえていたのですが、あまり細かい様子を伺う間もなく、そしてそんな光景を盗撮する隙もなく検査終了…
 あっさりと、あまりにもあっさりとあっけなく車検終了です。。。
 
 “初めてのおつかい”気分だった自分として、
・一応規制対応品を装着しているとは言え、排ガス濃度は本当に大丈夫なのか?
・比較的規制の厳しくなってきた年式につき、カスタムされたマフラーの音量は?
・トゥームストーン型に変更したテールランプに備わった反射板の面積は?
・素人仕事でエアークリーナーに還元方式をとっているブローバイガスは?
・車検証の記載とはどうやら違っているような気がする車体寸法は?
 など々…
 
 そりゃあもう初めてのユーザー車検で色々と不安もあったわけですが、そんな不安要素によるドッキドキ感を味わうヒマも無く全てが終了しました。いや、もちろんそれはこれまでに数々のユーザー車検をクリアしてきたであろう百戦錬磨の“頼れる漢(おとこ)・オン・ザ・リーダー”による下準備と事前調査、および受験中の的確かつ紳士的な行動によるものがほぼ全てなのではありますが。
 ちなみに自分が心配していた各種不安要素について、実際の現場では排ガスの濃度測定を行ったぐらいで後は全く見てもくれなかったそうで…
 
 そんなわけで“嫁にしたい漢(おとこ)・ナンバー1・イン・ザ・リーダー”のおかげで小一時間もかからないぐらいに素早く無事に車検が終了したわけですが、もしも仮に自分一人で受けに行っていたならば、、、
 大草原に置き去りにされた赤子の如く右も左もわからない陸運局で小一時間ばかりオロオロしたあげく、泣きながら歩いて帰ってきた事でしょう。
 
 やはり持つべきは友。それも“出来る漢(おとこ)”ですね。
- 目次へ -
 
 
『 2009年05月07日 読む価値ほども無いオレのGW。 』
 --- 5/1(金) ---
 全国版の暦上は一応平日って事になってるようですが、我が社の場合は労働組合ってのがありまして、、、
メーデーって言うんですか? 仕事なんて休んで「管理者コノヤロー!ぶっ潰せっ!!」的な集会があったりするわけです。もちろん私的にはそんな野蛮な集会はパスしておいての休日です。
 
 そして新弟子(男・若干5歳)の野郎も平日という事で集団生活訓練場に通って頂き、夕方までは一人で自由気ままな時間が送れるという1年に数えられるぐらいしか無いであろう“ビッグ・チャンス・ディ”なわけです。
 むしろ「オレのゴールデン・ウィークはこの日限りだ!(BGM ♪限りある限り♪)」と言っても過言では無いでしょう。
 
 そんな“ゲット・ザ・アメリカン・ドリ〜ムス・ディ”の午前中は相棒に跨りライド・オン(ここでBGMは♪ワイルドで行こう♪に変わる)です。とは言っても現実は平日にしか行けない銀行なんぞに用事もあったりするわけで「どうせだったら車じゃなくってバイクで行ってみんべ」的なちょっと残念なライド・オンです。
 
 そして“ライフ・イズ・ローリング・スト〜ン・ディ”の午後、何がオレをそうさせたのかわかりませんが、ふと思い立ってバリカン買って坊主頭にしてみました。(もちろんBGMは♪爆裂(バースト)・ヘッド♪に変わっています)
 坊主頭に爆弾を巻き付けるわけでは無いですし、もうちょっとココをこう刈って、、、とかやっているうちに結局坊主に、、、などというありがちなパターンの坊主頭でもありません。えぇ、けっしてそうではありません。ありまっせんとも!
 25年ぶりの坊主頭は思ってた程に(自分の中では)違和感はありませんでした(と、思いたい)。
 
 
 --- 5/2(土) ---
 新弟子(男・若干5歳)と一緒に朝一番の開店時間を狙って某ショッピング・モールのゲームコーナーに出向き、アニマルカイザーを5回ほど回してきたのですが特に雄たけびを挙げる程のレア・カードには出会えず仕舞いで…
 
 その後は特に予定も立てていなかったので自宅でまったりと過ごした一日だったが、そんなまったり状態の父の元に自宅周辺で遊び呆けている新弟子が駆け寄ってくると、
 子「ねぇねぇー、みんなー、ちょっとこの人見てー! ハゲつるピッカ〜(笑)」
 父「ハゲつる言うな!!」
 子「だはは〜 ボクのお父さんハゲつるピッカ〜(笑)」
 父「ハゲつる言うなっ!!」
 
 と、近所の餓鬼共全員を順番に呼んで来る新弟子との攻防戦に明け暮れた一日でもあったり。
 
 
 --- 5/3(日) ---
 さて、本日は母親も休みだということで隣県のちょっと大きめな動物園までの日帰り家族サービス。
高速1000円効果の影響か一般国道は普段とあまり変わらない交通量のようで順調に進むも、動物園入口から駐車場までの僅かの間で猛烈な渋滞に嵌まる…
 完全飽和状態の駐車場に並ぶ列を前に「いいからお前らは先に歩いて園に行け!オレの事は心配するなっ!!」と“出来る父親”像を新弟子(男・若干5歳)の脳裏に焼き付けると共に、本当はそっちのほうが疲れるであろう満員の園内における新弟子の世話役を母親に押し付ける事に成功。自分は必要以上にゆっくりまったりのほほんと駐車を完了させてから更に一服。デートを楽しむ若いカップルの片方だけを重点的に観察しながらこれまたゆっくりまったりのほほんと園内に向かって歩いた。
 
 “ヒクイドリ”だとか“オオサイチョウ”といったあまりにもマイナーな鳥類の名前を一発で言い当てる新弟子を不審に思いつつ、人並みに大型連休ちっくな疲れるホリディ・イン・ザ・サンを終える。
 
 
 --- 5/4(月) ---
 何故だかわからないが何処にも行きたがらない新弟子(男・若干5歳)は今日も自宅周辺で近所の餓鬼共と遊び呆けている。
 どうやら車で遠くまで出かけると高確率でゲボ吐きそうになるらしく、そんなお出かけよりも自宅周辺でワイワイ遊んでいるほうがよっぽど幸せらしい。
 そんな新弟子を放って自分だけ遊びに行くわけにもいかず、しょうがないので怖がる新弟子相手に補助輪を取っ払った自転車の乗り方を教授してみたり。補助輪を取っ払ってしまったせいで自立出来なくなった自転車にサイドスタンドを施工してみたり。そんな感じで昼ドラに出てくる張り込み刑事(デカ)のバックに遠く映ったエキストラちっくな休日の親子風に過ごしてみる。
 その他は殆どPC前に座ってまったりと過ごしてみた一日。
 
 
 --- 5/5(火) ---
 大型連休を利用してバイクで旅行に出かけている仲間(←羨ましい)が帰ってくる予定の本日、そんな羨ましい連中が四国上陸の為に隣県の港でフェリーから降りてくるところを狙って待ち伏せするべく、こっちからは“お迎えツーリング”の計画を立てるも、早朝から空模様は生憎の雨…
 
 楽しい旅行から帰ってきている羨ましい連中は雨が降ろうが槍が降ろうが合羽なり鎧なりを着てでもバイクで走って帰ってこなくちゃ仕方が無いが、こっちからわざわざ雨に打たれながら走って迎えに行くことも無かろうぜ…と、お迎えツーリングを渋々断念…
 
 
 --- 5/6(水) ---
 大型連休もいよいよ(やっと)最終日。
イ・イカンッ! このまま終わってしまっては仕事に疲れ果てた中産階級の中年男子が休日だというのに特にする事も無く、仕方無く家族を相手に余計に疲れてしまうという中年向けの漫画に出てくるような草臥れたオッサンを見事に再現してしまうではないかっ!!
 と、気分を奮い立たせ、昨日走れなかったぶんをちょっとでも走ろうぜと、足元にすがり付く新弟子(男・若干5歳)と襖の陰で涙を堪えながら洗濯物をたたむフリをする妻(女・三十ウン歳)の哀愁を振り払い、相棒に跨ってライド・オン♪
 
 1時間程走った先にあるド田舎の「道の駅 むささびナントカ」を目指す途中、同じく昨日お迎えツーリングを断念した仲間の一人に追い抜かれたあげく置いてけぼりにされてみたり。。。
 辿り着いた「道の駅 むささびホニャララ」では追い抜いていった仲間が先に到着していた更に別の仲間と談笑していたり。。。
 そんな偶然のようで計画的でもあった“ちょびっとツーリング”で連休の終わりを締めくくる。
 
 
 --- 以上 ---
 全体的に新弟子(男・若干5歳)の子守に徹したオレの連休も終わり。
そんな子守に疲れ果てた心身共を今日から会社でゆっくり休養させることにしようと思う。
 
 
 
 --- P.S. ---
 5/7の時点でこの文章を書いてみるが、既に連休前半の記憶が曖昧なのが恐ろしい。。。
- 目次へ -
 
 
『 2009年04月22日 願望。 』
いつもより随分と早い時間に目が覚めた。
惰眠の邪魔をしたのはどうやら背中の疼きのようだ。
まだ突いてから間もない墨の傷が完全には癒えていないようだ。
しかし今日に限って早く目覚めるのは都合がいい。
 
窓の外には朝靄のせいかくすんだ景色が広がっているが、
特に問題ではないだろう。
せっかくだから早めに出かけることにしようか。
 
寝起きの鈍い胃袋に濃い目のコーヒーを流し込むと、
体の中心から細胞が徐々に目覚めてくる感覚を覚える。
身支度を整えタバコを一本吸うと、
六時間ぶりのニコチンが脳髄を躍らせる。
 
踵に打ち込んだ鉄板が片方だけ取れてしまったブーツに足を入れ、
不規則な足音を鳴らしながらガレージに向かう。
指先の露出した革グローブを嵌めながらガレージで待つ相棒達に
無言の挨拶を交わすと、その中の一台に向かって呟いた。
 
「悪いが今日は風を感じたいんだ。お前の出番じゃねぇな」
 
VWのTYPE3は当然解っているさ、とでも言いたげに沈黙を守っている。
その隣にはまだメッキの輝きも美しい新型のV-Twinが並んでいるが、
コイツはどうにもならない時のために構えた最終手段だ。
滅多に出番なんてありはしない。
 
今日もそいつを素通りしてガレージの一番奥まで進むと、
草臥れたリジッド・チョッパーが待っていた。
メッキの輝きはとうに失せてしまい、あちこちに錆も出ている。
オイルで汚れたコンクリート地面がガレージでのコイツの定位置だ。
 
相棒の中でも一番癖が強く機嫌を損ねるとなかなか調子を戻さなが、
一緒に走っていて一番楽しいのはやっぱりコイツだった。
 
薄暗いガレージからリジッド・チョッパーを押し出し、
ティクラーポンプで燃料を送ると空キックを二回ほど踏んでやる。
キックを踏み下ろす度に背中の傷が少し疼いた。
革ジャンの下に着込んだコットン地のシャツが血と墨で
汚れてしまうかも知れないが、別に気にすることもないだろう。
 
イグニッション・スイッチを回し、効き足に少し力を入れて
キックペダルを一気に最下部まで踏み下ろす。
 
「なんだ、今日は随分と機嫌がいいじゃねぇか」
 
あっさりとリズムを刻み始めたリジッド・チョッパーの心臓は
気候が良くなってきたせいか、いつもよりか幾分軽そうに感じた。
 
「さて、行くか」
 
一時間ほど走った頃、大事なことを思い出した。
そう言えばまたアイツに黙って出てきてしまったな。
まぁ、いつものことだ。
アイツもわかっているだろう。
 
「ちょっと旅に出てくるよ。しばらく帰らないかもな」
 
 
----------------------------------------------------
 
 
みたいな生活が送れたらいーなー。
- 目次へ -
 
 
『 2009年03月10日 黄色い帽子のちゃぱロン。 』
 もう何年ぐらいの付き合いになるのかも明確に思い出せない我がオンボロ・グロ〜リア君(形式:Y30 ← ここ重要)だが、最近めっきりワイパーのゴムがヘタッているようで雨の中走っていると非常に目が疲れる。と言うか目だけじゃなくて心身共々疲れ果ててしまうぐらいに神経を尖らせて運転しないと危ないったらありゃしない。
 雨の中を走行するとガラスにはまさに水玉模様となって雨跡が残るわけだが、そこでワイパーをかけても水玉模様がワイパーの軌道に沿って縞模様に変わるだけだ…。ヘタすると水玉模様のほうが見やすいかも知れない。
 
 そこで先日、このまま放っておくのもどうかと思い立ち、近くにある“黄色い帽子”という名のカー用品店に出かけてみた。カー用品店なんて10数年ぶりぐらいぢゃねぇの?っていうぐらい行って無いかもね。
 さて、店内に入りずらり並んだワイパー用替えゴムをひとしきり眺めるも、いったいどれが適合するのやら(汗)
こんなこともあろうかと事前にオンボロ・グロ〜リア君のワイパーの長さぐらいは測っておいたものの、替えゴムのメーカーも数社あれば微妙な違いで長さの種類もたくさんある。(当たり前なのか?)
 
 そんなに高額な部品でもないので“エイヤッ”と一発見切り発車で買ってしまうというジャケ買い風の手段も取れなくはないが、そこは一つ冷静になり一番安そうなメーカーの適合表を手にとって調べてみる。
 国産から外車まであらゆるメーカーが網羅された適合表(表っつうか本だね)の中から日産車のコーナーを開いてみるとさすがに“腐っても鯛、ボロくってもグロリア”、即座に車名は出てきた。が、どうも年式(形式)が合わない。適合表に掲載されていたのは一番古い年代の形式でも「Y31」となっていた。完全に解りきっている事ながらもしかしたら「天使のきまぐれ」もあるかも知れないと、もう一度我がオンボロ・グロ〜リア君の形式を思い起こしてみるも、それはやっぱり「Y30」、、、惜しいっ!
 今度は「悪魔の微笑み」を求めてもうちょっと高級そうな一流メーカーの適合表(これも表っつうか本だよね)を手に取るも、やっぱりそこに掲載されてるグロリアは古くっても「Y31」…。
 
 「アッカ〜ン! 俺のオンボロ・グロ〜リア君が古いんだー! 古すぎるんだぁぁ〜。。。」
と、アメコミ並にオーバーアクションを交えて店内で叫ぶも事態は解決しないので、その辺をぶらついていた気の毒な店員をとっ捕まえて尋問に入る。
 
 「この適合表に載っていない車種はどうすんだべ?」
と、問うと、
 「そりゃあオメェ、現物合わせっしょ」
という返答。
 
 「そんな手抜きのインチキ設計家みたいな事言っとらんで何とかしてくれろ」
と更に問いつめると
 「それならば手の空いた従業員にやらせましょ」
とありがたいお言葉。
 
 間もなく“茶髪+ロン髪=今どきのチャラチャラした若者風で一見仕事がバリバリ出来る風貌には見えないが実はかなりの使い手(以下、めんどくさいので「ちゃぱロン」)”の整備服が登場し、我がオンボロ・グロ〜リア君からワイパーを2つ共もぎ取った。そしてそれを客で溢れる店内に持ち込むとずらり並んだ替えゴムの商品を片っ端から開封し、まさに“現物合わせ”を始めやがった。
 
そして数分後、ちゃぱロン曰く、
 「え〜っと、ちょうど合うのはありませんね…。この辺のが一番近いんですけど微妙に短いんですよねぇ…」
 
 (いやいやちゃぱロン君、そんだけ売り物開封しといて今さら「合いません」って…、我ながら店長の代わりに心配になるでよ)
 
更にちゃぱロン曰く、
 「ここはやっぱりゴムだけぢゃなくって、ワイパー本体ごと全部とっ替えしましょ♪ そうすりゃ今度からはゴムだけ買えば合いますし。ね、そうしましょ♪」
 
 (いやいやちゃぱロン君、このオンボロ・グロ〜リア君が次にゴム替える時まで現役で走ってられると思ってるの? たぶん無理でしょ)
 
突っ走るちゃぱロン曰く、
 「え〜っと、そうすっと、運転席側がコレで助手席側はコレですね。両方で長さが違うんですよねー。じゃ、取り付けて来ていいっすか?」
 
 っつうことで開封済みの大量のゴムを置き去りにワイパー本体ごとお買い上げで約3000円也。しかしながら、ちゃぱロン君が開封しちまった大量のゴム代金を払わされる事も無ければ、そんなちゃぱロン君の工賃を取られることも無く非常に良心的に対応してくれてありがたい限りだった。
 ただ、面倒がって近場で済まそうとせず、ちゃんと普段面倒を診てくれている仲間のいるディーラーに行っとけば普通にゴムだけ交換で済んだかも。
 
 おそらくまた封入されて陳列されるであろう大量の替えゴム、、、
 それをこれから買うであろう大量のお客さんにゴメンナサイ。
- 目次へ -
 
 
『 2009年02月16日 ちょっといい話。 』
 数年前、息子が生後数ヶ月を経た頃には母乳から市販されていた粉ミルクに切り替えた。
そんな粉ミルクをちょっと飲んでみたことがある。それはあまり味のしない、ただ色のついた人肌温度の液体といった感じでけっしておいしいと思えるものではなかったが、大人が飲んでも別に飲めない程のマズさではなかった。
 
 それから数ヶ月後。
息子の顔が次第に赤らみ始め、乾燥してかぶれてしまったようなザラザラの肌になってきた。乳児によく見られる脂漏性湿疹と言うには酷すぎるような吹き出物も出てきた。
 そんな状態のままで放っておくわけにもいかず診察を受けると、やはりアレルギー反応が出た。息子は卵・牛乳をはじめ他にも色々な食物に対してアレルギー反応を起こすようだった。肌の荒れや異常な吹き出物はこれまで与えていた粉ミルクが原因だった。
 まだ自分では何も出来ない息子に対し、これほどに悪化するまで対処が遅れたことを申し訳なく思った。
 
 しかしながら現時点で息子が摂れる食物としてはミルクの他には無いわけで、市販されている粉ミルクの中からアレルギー体質の乳児向けに販売されているミルクを選んで与える以外に手段は見つからなかった。
 そこで近辺のドラッグストア等で探してみるが、アレルギー体質用の粉ミルクは一種類しか見つけられず、その唯一見つけた商品も陳列棚に2缶あればいいほうだった。値段もけっして安くはない。それでも他に選ぶ余地は無かった。
 買い物に出かけた際には陳列棚にあるだけのその粉ミルクを買い占めてしまうような状態が続いた。幸いにも息子がこのアレルギー体質用の粉ミルクに嫌悪感を示すことなく、これまでの普通の粉ミルク同様に飲んでくれたことだけが救いだった。
 
 それからしばらく経ちそろそろ離乳食も始めミルクと離乳食を併用で与えていた頃、ふと思い立ってそのミルクを自分で飲んでみた。息子が使っていた哺乳瓶から一口飲んでみた直後、あまりの不味さに吐き出してしまった。
 以前に飲んでみた普通のミルクもけっしておいしいものではなかったが、大人でも飲めないという程ではなかった。しかしこのミルクは自分にはちょっと無理だった。あまり味のしなかった普通のミルクとは違い、苦いというわけではないがとても不快な味があった。例えるならばザラザラとした泥水を飲んでいるような感じだろうか。
 
 よくもまあこんなにマズいものを飲んでくれていたことだ…
このミルクを与えた時、待ち構えていたかの如く嬉しそうに手にとってグビグビと飲み干していた息子の笑顔を思うと悲しい気持ちになった。
 他に口に出来るものが何も無かった息子にとって、このマズいミルクだけが唯一の生きる糧だった。
そろそろミルクも卒業かというこの時期になるまでこんなにマズいとは全く知らずに与え続けていた自分と、それに何の嫌悪感も出さずにとてもおいしそうに飲んでくれていた息子。
 
 そして今も、試しに飲んでみる為に取り上げた哺乳瓶に手を伸ばし「それは僕のだぞ」と笑顔で主張する息子を見ると、自然と涙が溢れてきた。
- 目次へ -
 
 
〜 今を生きろ! 〜
最新の日記へ
 
PONTAX'S FIELD TOP
TOP PAGEへ