COLUMNIST

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〜 私の過ぎ去りしおもひでを懐かしもうではないか 〜
 

 
− 目次 −
『 2009年01月17日 見えない敵。 』
『 2009年01月14日 これは難聴ですか? 』
『 2009年01月08日 あぁ〜 なんて冷たい 火の鳥〜♪ 』
『 2008年12月29日 ○○マン参上!! 』
『 2008年10月14日 アナログ人間がデジタルと付き合うコツ。 』
『 2008年10月05日 雨の休日。 』
『 2008年10月03日 昆虫軍。 』
『 2008年09月24日 ファッション・リーダーの煙管服論。 』
『 2008年09月16日 五感を研ぎ澄ませろ!! 』
『 2008年07月18日 トラブルジャンキーHの海外出張編。 』
『 2008年07月09日 続・あいつから言葉を奪え。 』
『 2008年06月21日 梅雨空の隙間に。 』
『 2008年06月12日 あぁ、薔薇色の人生か!? 』
『 2008年05月30日 オナニーズ・マニュアル。 』
『 2008年04月23日 恋文。 』
『 2008年04月08日 新入生。 』
『 2008年03月28日 片田舎の通勤事情。 』
『 2008年01月07日 あての外れた仕事初め。 』
『 2007年11月16日 トラブル中毒。 』
『 2007年10月24日 ある夫婦のZ●●D。 』
 
『 2009年01月17日 見えない敵。 』
 ある日の夜。
 
 父「なぁ坊よ、そろそろ風呂にでも入ろうや」
 坊「ヤダッ、これで遊ぶのが先だもん」
 父「またそんな事を言うのか! 泣かすぞ」
 坊「うわ〜ん、それもヤダッ」
 父「だったら今から一緒に入るぞ」
 坊「あ、そうだった。ボク、ちゃんと言うこと聞いてお風呂に入るんだった」
 父「よしよし、いい子だ。いっその事ここで服も脱いでしまおうや」
 坊「はあい!」
 
 それは、この季節になるとおそらく寒いであろう脱衣所でモタモタと服を脱ぐのを避け、比較的暖かいこの場所で裸になってしまってから一気に風呂場に飛び込むという作戦だった。が、事件が起きたのは全裸の二人が風呂場に通じる脱衣所に向かって急いでいた時だった。
 
(ん…? なんだこの臭いは?)
 
 扉の閉まった脱衣所の内部に何やらただならぬ違和感を感じ取った父は、我先にと脱衣所に飛び込もうとする我が子を制した!
 
 父「ちょっと待て! 何か臭くないか!?」
 坊「ええ? そうかな?」
 
 そして脱衣所の扉を開けた瞬間、強烈な刺激臭が二人を襲った!
 
 父「ぐはっ! 何だこの臭いはっ!」
 坊「わー! 臭っせー!!」
 父「だ・だめだっ! これは無理だ。一まず退却だ!」
 
 そこには目にも染みるような得たいの知れない何かが充満していた。息を吸えば咳き込んでしまう程に強烈な刺激を伴い、鼻に入れば鼻血が出そうなぐらいの有毒なガスのような何かだった。
 
(クソォ! 何なんだいったい? 毒ガスか!? テロか!? 敵はどこだ!?)
 
 二人は真っ裸というまさに丸腰状態のままとりあえずその場から退散したが、時は既に遅かった。開け放たれてしまった脱衣所からは刺激臭が廊下のほうにまで勢力を広げてきた。
 見えない敵に計り知れない恐怖を感じながらも、その不安を隠しつつ我が子だけは死守せねばっ! と思考を巡らせる父。
 
(見えない敵とどうやって戦う? しかもオレは“まっぱ”だ! 武器は? 戦略は?)
 
 父「坊よ、臭いはここまで迫っている! ここももうダメだ!」
 坊「うわ〜ん…」
 父「泣くんじゃない坊よ。大丈夫だ。まだ安全な場所がある。行くぞ! 息を止めてついて来い!」
 
 二人は息を止めたまま脱衣所に突入し、閉まっていた風呂場の扉を開けると中に飛び込んだ。そして父は風呂場に飛び込む瞬間、その扉の傍らに設置されていた浴室内の換気扇スイッチを入れる事も忘れなかった。二人の飛び込んだ浴室内は、外の汚染された環境とはうって変わって適度な湿度を持つ新鮮な空気に満たされており、そして暖かかった。
 ひとまず身の安全を確保しホッとしている父が浴室の扉越しに脱衣所の様子を伺うと、そこには今までどこに避難していたのかわからないが、母と思われる人物の影が動いていた!
 
 父「しまった! そこにはまだ敵がっ!」
 母「え? 何!?」
 
 母「あ、そうそう、あたし今髪の毛染め直していたから。ちょっと臭かったでしょ。ごめんなさいね」
 
 
 
 敵は身内にいた…
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『 2009年01月14日 これは難聴ですか? 』
 先日買った“あざらし”の新譜がかっこいい。
とだけ書いても一体何がかっこいいのかわからないでしょうけど。はたして曲がかっこいいのか? ボーカルの声がかっこいいのか? あるいはジャケ画がかっこいいのか? そもそも“あざらし”というバンドそのものがかっこいいのか?
 以前から“あざらし”というバンドが好きでよく聴いているが、もちろん前述の全てが「かっこいい=好き」ということになるのだろう、きっと。ただあともう一点気付いたことを挙げると、今回の新譜で感じたのはその音質だった。ぶっちゃけ音が悪いのだ。現在の大手レコード会社からリリースされている通常のCD等では有り得ないぐらいに音が悪い。
 自主制作という手法がそれほど珍しいものでは無くなってきた現在において、完全自主制作というレベルで考えても音質は高いほうではないだろう。おそらくこれはアーチスト側の戦略としての音の悪さであり、聴く側としてそこにかっこよさを感じてしまっているのだが。これは数年前にリリースされた“コケシドール”の時も同じだった。
 
 80年代には自主制作レコードをよく聴いていた。レコードといってもペラペラのソノシートであったり、ラジカセ程度の機材で録音した音をそのままレコードに焼いたような粗悪なものも多かった。そしてそれが当たり前だった。
 レコード本体を聞けるものはまだ良かった。どうしても入手できない音源等は何回もダビングを繰り返されたカセットテープだったし、レコードとしてリリースされていないものはに至ってはライブ会場で客が録音したライブテープと言われるものだった。それでも好きなアーチストの演奏が聴けるのが嬉しかったし、良くない音質もさほど問題ではなかった。
 今回の“あざらし”や“コケシドール”の音質にはそんな80年代のある種ちょっと異端的で危険な匂いを感じさせるものがあり、そこに一番のかっこよさを感じてしまうのだ。これはアーチスト側の意図するターゲット層というのが明確に現れているのかも知れないしそこに自分が見事に嵌まってしまっているのかも知れないが、長年にわたって程度の低い音質ばかりを聴いてきた者だけがかかる病気のようなものかも知れない。
 
 その昔、『ライコス個人放送局』というネットサービスがあった。誰でも気軽にネット上で放送曲を開設できるという無料のサービスで、自分の好きな音楽や映像を流しながら他のユーザーとチャットで雑談ができるというものだった。
当時そのサービスを利用して『生PONTAX'S』という放送局を開き80年代のパンク等をランダムに流していたのだが、ガスタンクのライブテープを流しながらネット上を徘徊していた時、見知らぬユーザーが『生PONTAX'S』に入ってきた。
 
 ...初めまして! ちょっと聞かせて下さいね。
 ...あ、こんちは。初めまして。
 
 ...この曲、かっこいいですね。なんていうバンドですか?
 ...ガスタンクっていうんです。
 
 ...へぇ〜、そうなんだ。今度探してみよっかな。
 ...もう昔のバンドなんだけどCDは今でも売っているはずですよ。
 
 ...でもさ、何でこんなに音悪いの? デッキがボロいの?
 
 そう書き残すと、そのユーザーはログアウトしていった。
 
 
 
 あなたの耳は正しいです。
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『 2009年01月08日 あぁ〜 なんて冷たい 火の鳥〜♪ 』
 相変わらず80年代の音ばかりを求めて聴いている後ろ向きなオッサン向けにと、某ネッ友さんから現代でも通用するナウい(←死語)バンド群による数々の音源を頂き有頂天で聴きまくっている状態でありますが、その中にTHE BACILLUS BRAINS(日本脳炎)というバンドの音源がありました。んで、またその中の1曲に「泉谷しげる/火の鳥」のカバーが収録されていて狂喜乱舞しながら(←大袈裟)聴いておるわけです、はい。
 
 そして、自然な流れとして最近あまり聴いてなかった泉谷さんの音源を久しぶりに聴きたくなったのですが、以前持っていたレコードなんてものはとっくの昔に処分しているわけで(汗)
 まあでも確かMDに録音していたのが残っているハズだと思い捜索すると、一番良く聴いていた2枚組みライブアルバムをひとつのMDに録音したのが出てきた。これがなかなかカッコ良くて好きだったアルバムだ。もちろん「火の鳥」も収録されている。
 では早速、と自宅のMDコンポに挿入。。。
 
 …カシャン、ウィ、キュルキュル、プ・プ・プ・・・
 
 「NO DISK …」
 
 あれ? おかしいな? と一度MDを取り出して再度挿入トライ。
 
 …カシャン、ウィ、キュルキュル、プ・プ・プ・・・
 
 「NO DISK …」
 
 あれれ? やっぱりダメじゃん。読み込んでくれないじゃん。このディスク、しばらく放っておいた間にディスクがダメになってるじゃんかっ! と、落胆を隠せないまま一応確認の為にと思い別のディスクを挿入してみる。
 
 …カシャン、ウィ、キュルキュル、プ・プ・プ・・・
 
 「NO DISK … …」
 
 うげっ!? ディスクがダメなんじゃ無くってデッキがぶっ壊れてる…。更に落胆しつつも音源自体は生きている可能性が大きいのでちょっと安心したり。。。
 という恋愛に悩む乙女心にも似た複雑な心境のなか、なんとか「泉谷しげる/REAL TIME」(in MD)というアルバム聴いてやろうと、これまた数年に一度ぐらいしか使ったことのないMDウォークマンを引っ張り出してみる。まあ薄々感づいてはいたがバッテリーが生きているハズもなくあえなく撃沈。。。
 
 ダメだ。我が家にはもうMDを再生するべきシステムが残っていない。そしてMDというメディア自体、自分のなかでは過去の遺物扱いに近い状態だったことに今さらながら気付かされる。
 
 放っておいてごめんよMD君。
 もういらないってわけでは無いんだよMD君。
 またいい音を聴かせておくれよMini-Disk君!!
 
 ♪あぁ〜 なんて冷たい 火の鳥〜♪ というフレーズを脳内でリピート再生させながら哀愁を気取っていると、そんな青色の脳内に閃光が走った!
 
 そうだっ! 自分にはまだオンボロ・グロ〜リア君がいる!
もういつ土に返ってもおかしくないと言われている我が愛車のオンボロ・グロ〜リア君には、これまたオンボロではあるがMDの再生機能が装備された20年前の最上級カーコンポ・システムが搭載されているのだった!
 4つあるスピーカーのうち2つしか音が出なくなっているとか、本来ならば闇夜にも綺麗に輝くイルミネーションも一部分しか光らなくなった虫食い状態であるとか、いくらチャンネルを合わせても全く受信してくれないラジオだとか、そんな事はこの際関係ない。オンボロ・グロ〜リア君に乗り込めばMDが聴けるという事実がわかっただけで今はとてもハッピーな気分だった。
 ただ、もうそろそろ床に就いてもいいんぢゃねーの?と思われるぐらいの時間だけに、今からオンボロ・グロ〜リア君に乗り込んで音楽鑑賞することもないだろう。楽しみは翌朝の通勤で車を使う時までとっておこう。と、幸せな気分で眠りに落ちた。
 
 そして翌朝。
オンボロ・グロ〜リア君で走り出すと同時に脳内ではすでにアルバム冒頭曲のイントロが先走っている。震える手で「泉谷しげる/REAL TIME」と書かれたMDをデッキの挿入口にぶち込む。ディスクの存在を感知したデッキは、こちらが押し込む力を助けるかの如くディスクを吸い込む・・・が、2秒後には入れたばかりの泉谷さんが吐き出されてしまった!
 あ、あれ? 裏表が逆だったかな? と再度確認してぶち込む。
 
 ウィ〜ン、スチャッ。
 
 イチ、ニッ、
 
 ウィ〜ン、ガシャッ。
 
 何度トライしても吐き出されてしまう“しげる”さん…。
オンボロ・グロ〜リア君の最上級MDデッキシステムも既に生きてはいなかった。。。
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『 2008年12月29日 ○○マン参上!! 』
 最近少しは力も付いてきたのか、自分と遊んでいる時に繰り出される様々な攻撃技がちょっとダメージに感じる事も出てきはじめた息子(若干5歳)を捕まえて父が言った。
 
父「へぇ〜、お前もだいぶ筋肉が付いてきたかな? ちょっと力こぶを作ってみろよ」
息子「力こぶって?」
父「こうやって腕を曲げてグッと力をいれてみるんだ。ほら、ここの所が固くなって膨らんでるだろ」
息子「あ、ホントだ。固い固い」
父「ほら、お前もやってみろ」
息子「ドリャアー!」
父「はっはっは。まだまだだなー。こりゃとても筋肉とは呼べないなー」
息子「じゃあ、父ちゃんがもう一回やってみて」
父「ようし。フンッ!」
息子「わー! 凄い凄い! 筋肉だー! 筋肉マンだっ!」
 
 休日の午後。近所のガキ共に混じって遊んでいる息子が叫ぶ。
息子「ねー、みんなー。見て見て、筋肉マンだよー!!」
 
 その日から父は近所のガキ共に“筋肉マン”と呼ばれるようになってしまい、メタボの腹を擦りながら恥ずかしい思いをすることとなった。
 
 そして数日後。
またしても父に向って息子と一緒に近所のガキ共が叫ぶ。
 
ガキ共「おーい、筋肉マ〜ン!」
 
 それを近くで聞いていた母が笑いながら答えた。
 
母「あはは、筋肉マンって何よ。あんた達何言ってんのよ。それを言うなら贅肉マンよ、贅肉マン」
息子「えー、贅肉マン!? そうか、贅肉マンなのかぁ」
 
 その日から父は近所のガキ共に“贅肉マン”と呼ばれるようになってしまい、メタボの腹を擦りながら更に恥ずかしい思いをすることとなった。
 
 そして父は朝バナナダイエット決行の決意を固めた。
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『 2008年10月14日 アナログ人間がデジタルと付き合うコツ。 』
 先日の運動会の日、ディズィタオォキャメ〜ラ(平たく言うとデジカメ)がぶっ壊れた・・・。
 
 新弟子の大活躍シーンを写真に残すべくデジカメを持参したが、最近は写真より動画が主流のようで。。。まぁ、うちはビデオカメラ持ってないけど・・・。“かけっこ”に登場した勇姿ぐらいは撮れていたけどその後はぶっ壊れたのでなんにも撮れてまっせん。しかも唯一撮れていた“かけっこ”でも特に大活躍はしてまっせん。
 
 ぶっちゃけ最近では携帯電話の動画撮影機能でも結構なモノが撮れるので、デジカメ要らねぇんじゃねーの?って気も・・・。みたいな事をボソッと呟いたところ、傍らにいた相方が「要るに決まってるでしょっ!」と即答した。
 いやいや、アンタが保護者リレーで走ってる姿を写した瞬間ぶっ壊れたんだけど。。。走りながら何か光線でも発してたんじゃねーの。
 (↑とはもちろん言ってません)
 
 今回のデジカメは何年ぐらいもったかな?最近のこういった電気製品は修理するぐらいなら買ったほうがマシですかね?あんまり高性能な物は要らないので安物でいいけど、ある程度のズームと動画が撮れる機能ぐらいは欲しいね。さぁて今度はどんなデジカメを買うべか?、と心をときめかせていた数日後、
 
 デジカメ直った・・・。
 昔のテレビの如く叩いたら直った!
 なんだよこのマンガちっくな展開は。
 
 そもそも、
電源を入れると普通はウィ・ウィ〜ンと静かな音をたててレンズが前に出てくるのだが、これが出てこなくなっていた。電源を入れるとガチャ・ガチャガチャパキッ!とあまり素敵ではない音を出し、レンズが途中で引っかかって止まってしまうのだ。
 液晶モニターにはレンズエラーと表示されてそのまま電源が落ちてしまう。中途半端に出てしまったレンズが元に戻ることもなく・・・。
 
 そんなわけで捨てるつもりだったデジカメ君だけど、まぁ捨てる前に一度バラしてみようよ。と思い精密ドライバーで外装をバラすも、素人には何の事やらサッパリわからんちん。
 とてもじゃないけど不具合の出ているであろうレンズを稼動させる部分まで辿り着けそうにはないので、そのままフタをしてデジカメ君復活へのチャレンジ終了。。。
 
 で、今度こそいよいよ捨てることに決定したデジカメ君だったが、まぁ最後に強行手段に出てみるか?と思って(なかなか諦めきれない・汗)、中途半端に出てしまっているレンズを力技で押し込んでみる。
 デジカメを机に置き、出ているレンズの端に両方の親指をあてがってグッと押してみる。多少の抵抗を感じさせつつも元の位置に戻っていくレンズ君であったが、手を離すとまた中途半端な位置まで出てきてしまう。
 同じことを5回ほど繰り返したあげく、最後の一撃!とばかりに両親指に全体重を乗せグッと押し込む。それはもうデジカメ本体ごと、いや、デジカメを置いてある机ごと崩壊させてしまうぐらいの圧力(推定2トン)をかけてみる。
 
 すると、バキッ!っと、、、
 
 明らかに壊してしまった感の否めない音と共に、これまでは「けっして戻ってなるものかっ!」と頑なに抵抗していたレンズ君が最後の力を失ったかの如く元の位置に収まってしまった!
 
 恐る恐る電源ボタンを押してみる。
 
 ウィ・ウィ〜ン♪
 
 恐る恐るシャッターボタンを押してみる。
 
 ジー・ジジ・パシャッ♪
 
 直ってるじゃん♪
 
 
 昭和の時代から「家電は叩いて直せ!」と言われているが(←ウソ。そんなことは言われてない)、21世紀にはびこる最新デジタル精密家電品も叩けば直るようだ。(←正確には叩いたのではなくて力任せに押したんですけど)
 昔の人の言ったことはやっぱり正しかった!!
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『 2008年10月05日 雨の休日。 』
 新弟子(男・若干5歳弱)と二人して家の中に篭りっきりなのは非常に疲れるので、フと思い立って実家近くのプラモデル屋さんに行ってみた。
 「作って楽しく完成後に遊んでも楽しく」というコンセプトの元、完成後にはラジコンなりリモコンなりで動かすことのできる車、あるいは戦車のプラモデルでもあればいいな、という思いで。
 
 さて、20年以上ぶりぐらいに訪問した田舎の模型屋には爺さんが一人でレジに座っていた。その面影から20年以上前に少年だった自分が通っていた頃のオジサンの老いた姿だとわかる。もちろん爺さんは自分の事など覚えているハズも無いだろうが。
 
 こんな田舎の模型屋が今でも残っていること自体が奇跡なのかも知れないが、さすがに陳列棚は古く品揃えも豊富とは言えない。店内をウロウロしては興奮して大声ではしゃぎ回っている新弟子を適当にあしらいながら、目当てである完成後に動かせて遊べるプラモデルを探してみるもなかなか見つけることができない。
 このままだと新弟子の野郎が店内を破壊しかねないので自力で探すことを諦め、レジに座ってテレビを見ている爺さんに聞いてみる。爺さんの言うには最近ではめっきりそういったプラモデルも減ってしまったそうで、今店頭にあるのはそこにある戦車だけだという。おそらくトイ○ラス等の大型店に行けばもっと豊富な品揃えなのだろうが、ここでそんな事を爺さんに主張しても仕方が無い。
 
 トイ○ラス等の近代的大型店ならここで店員自らが先頭にたって客を案内するのかも知れないが、田舎で個人経営の模型屋を営む老いた爺さんは座ったまま指で陳列棚の片隅を示し「そう、そこの右、一番下の段。」と指示を出す。
 言われた場所に移動すると確かにリモコンで動かせる仕組みになった戦車のプラモデルが3機ほど置かれてあったが、いまひとつ自分の物欲を満足させてくれる物では無かった。まぁしかし、どうせ暇つぶしのオモチャだし雨の中せっかく出向いて来たのだからと、その中から一つ選んで買って帰ることにする。
 
 と、その前に、既に3個ほどの商品に目星を付け「コレ買うんだっ!」と息を弾ませている新弟子の野郎を普段なら鉄拳でやっつけなければならないのだが、今日に限ってはなんとなく一つぐらいは買ってやるかと考え、その中でも安売りの紙が貼られたダンボール箱に入っていたガンプラを1体買い与えてやることにする。
 このガンプラは色も始めからある程度塗られているばかりか組み立てるのに接着剤も必要ないというからわりと最近の商品ではないかと思われる。そんな比較的新しそうな商品が安売りなのに箱も古びた戦車が定価売りなのはどうしてだろう。などと考えながら決まった2個のプラモデルをレジに座る爺さんに差し出す。
 
 するとガンプラを見た爺さんは「え〜っと、コレはもう消費税込みでお安く出させていただいてる分ですが、、、幾らって書いてあったかちょっと見てきてくれませんか?」と言う。どうやら自分で決めた値段を覚えていないようだ。しかもその確認を客に任せて自分は動こうとしない。いや、老いた体を簡単に動かすことはできないようだ。
 2個のプラモデルのうち1個は税込みセール品、もう1個は税別の定価売り、さらに戦車用に接着剤も購入することにしてそれにも消費税が、、、
 デッカい電卓をひたすら叩いて計算をやり直している爺さんが導き出した金額に対し、細かい札を持ち合わせていなかった自分は1万円札と端数の8円を渡した。するとまたデッカい電卓と格闘しお釣りの計算を始める爺さんの指は、傍から見てもそれが爺さんの意思のまま自由に動かせてはいないのがわかる。
 
 しばらく待っていると、「はい、それじゃあ○○円のお返しね。」とお釣りをくれたのだが、それがちょっと普通じゃありえない感じに金額が違っていた。
 一瞬固まる自分に満面の笑みでお釣りを差し出す老いた爺さん。
 3秒程考え、まあいっか。とその金額を受け取って店を出た。
 
 雨の休日、家族で1回外食ができる程度の金額を、ついうっかり田舎の模型屋に落としてきてしまった。
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『 2008年10月03日 昆虫軍。 』
 蓑虫(ミノムシ)って知ってます?知ってますよね。突然ですけれど。
 
 アレですよアレ。ちっちゃな小枝とかを集めて作った寝袋チックな入れ物(巣?)の中に入ってる何やら得体の知れない虫ですよ。得体を知っていないのは私だけなのかも知れないですけれど。
 それでもそんな寝袋チックな姿だけはそれなりに幼少の頃から把握しているのですけれどね、その中身ってのは私は今までに一度も見たことが無いと思うんですよ。っつうか、あんまり中身の正体まで考えたことも無かったと思うんですよ。それが最近フと気になりだしましてね。
 「あの寝袋の中にはどんな虫が入ってるのかなぁ?」
 「あの寝袋はセミやカブトムシで言うところの蛹(さなぎ)に相当する物なのかなぁ?」
 「って事は春になると寝袋を破ってなにかしらの成虫が飛び出てくるのかなぁ?」
といった感じですね。
 
 んでね、ちょいとググってみたわけですよ。
いや実際にはググってないんですけどね。便宜上「ググった」って言っておけば何をしたかわかると思いまして。。。
 
 「“ミノムシ”とは何ぞや?」という疑問を解決すべく私のとった行動はと言うとですね、カップラーメンの蓋の重しにするにはちょっと重過ぎるぐらいに分厚い辞書を引っ張り出してきて調べる、みたいな事は間違ってもしませんね。その代わりにインターネットの検索サイトでね、検索窓に“ミノムシ”って入力して[ENTER]キーをポチっと押してみたんですよ。
 その際に使った検索サイト様がですね、GOOGLE様だった場合には前述の“ググった”と言う言葉で正解なんですけれど、残念ながら私が普段よく使っているのはYAHOO様なんですよね。なのでこの場合は“ヤフった”と言うほうが正解なのかも知れませんが“ヤフった”と言う言葉は日本で浸透してませんものね。
 ブラックホールからワープしたぐらい話が逸れちゃってますけど。。。
 
 そしてヤフった結果、何がわかったのかっつうとですね、、、
ちょっと待って下さい、今からもう一回ヤフって確認してきますので。。。
 
 
 
 幾つかの種類もあるようですが、概ね“ミノムシっていうのは蛾(ガ)の幼虫”って事みたいですね。便利な世の中になったものですね。「わからない事はヤフーに聞けっ!」という定説が生まれてもおかしくありませんね。いや言葉の浸透具合から考えられるとすれば「わからない事はグーグルに聞けっ!」ですかね。
 またしてもブラックホールに片足を突っ込んでしまっていますけど。。。
 
 なんで急にミノムシが気になりだしたのか?と言うとですね、居やがるんですよ、我が家に。しかも大量に。
あ、いや、もちろん屋外に、ですけどね。いくら田舎住まいだからといって家の中でミノムシに大量発生されちゃかないませんから。飯喰ってる上ではミノムシさんがブ〜ラブラとか、寝返りうったその鼻先でミノムシさんがコンニチハとか、風呂場の湯煙に隠れていたミノムシさんとか、洗濯機のゴミ取りネットからミノムシとか、箪笥からミノムシとか、便所のミノムシとか、そういうのじゃありませんから。念のため。
 
 相方が庭に植えてあるモッコウバラの木にね、ヤツ等が大量にぶら下がってるんですよ。家の中からザっと見ただけで10や20ぐらいはぶら下がってますからね。実際にはもっと大量に居やがるんじゃないですかね。どうりで最近我が家の周辺には“蛾”が多いなぁとは思っていたんですけどね。
 寝袋の中でぬくぬくと越冬した暁には成虫と化したプチ・モスラの集団がゾロゾロと出てくるんでしょうかね?今のうちに何か対策を施すべきなんでしょうかね?相方にバレなければモッコウバラもろともバッサリとやっちゃっても構わないんですけれどね、私的には。もちろんバレないはずがありませんから出来ないのですけれど。当家において私にそんな権力はありませんし。。。
 そもそも庭のモッコウバラにミノムシが大量にぶら下がっている件につき、人体に何か悪影響が出るのでしょうか?「妙に胸クソ悪い」というストレス以外で。
 
 
 
 長文のわりにたいした内容じゃなくってごめんなさい。
 かつ、なんだか“くどい”文章でごめんなさい。
 虫が嫌いな方にもごめんなさい。
 
 それと、戸川純さんの話じゃなくってごめんなさい。
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『 2008年09月24日 ファッション・リーダーの煙管服論。 』
 私は煙管服(つなぎ)という服が結構好だ。突然ですけれど。
そんなに頻繁に着ているわけでもないくせに3着あります。けっして元・暴○族だったわけでもなければアイドルの追っかけをやっていたという過去遍歴も持っていません。念のため。
 
 一番最初に買ったのは何軍だか知らないけれど濃いグリーンの空軍物。
色んな軍事的理由から腰回りにポケットがひとつもなく、実用上とても不便なのであまり着ていない。
 偶然だが数年前のこと、日本最後のザ・スターリン・コピーバンド「コケシドール」のリーダーである蹄さんが、これと同じ物をステージで着用した後、ファンにプレゼントとして提供していたことでも話題になったシロモノだ。(←だからどうした?って感じだが。しかも殆ど話題になんかなってないし。。。)
 
 二番目に買ったのはディッキーズ製でグレーの縦縞風のヤツ。
たぶんこれが一番使用頻度が多いと思われるが、煙管服にありがちな仕様で腰の両サイドがパックリと割れている。重ね着した際に中に穿いているジーンズとかのポケットが使えるようになっている為だが、重ね着をしない自分の場合ガラパンが丸見えになってしまう可能性も大きく、セクシーかつ大胆な着こなしが要求される一品。
 “若い女性”に是非着用してもらいたいアイテム・ランキングでは常に第3位ぐらいをキープしているハズだ。(その場合もちろん重ね着なんかは御法度であるが)
 
 三番目に買ったのはナントカっていうライダー系(バイカー系では無いところがミソ)のメーカーから出ている黒の煙管服で、背中にデッかく“B●d Com●any”と書かれているヤツ。
 実は自分の所属するクラブのメンバー全員で揃えて作ったもので、そのデッカく書かれた文字こそがクラブ名なのである。製作当初こそ数回ぐらいは着たこともあるが、今では全く着ることはない。なぜならばライダー系であるが故のデザインの違和感はもちろんのこと、背中のデッカい文字が恥ずかしいからだ。
 
 また、上記の3着とは別にも煙管服を3〜4着持っている。
そのどれもが同じデザインの水色の煙管服だが、それは仕事用だ。通常は事務職なので着ることは無いがここ一番現場で油にまみれて動かなければならない時もあり、そんな時にはこの水色煙管服の出番なわけだ。(ちなみに同じ職場のトラブルジャンキーHという先輩はプライベートでもこの水色煙管服で行動しているが・・・)
 
 さて、そんな煙管服マニア(って言う程でもないが)の自分が最近気になっている一着がある。
それは何を隠そう“ヤッターマン”だ。ヤッターマンと言えば1号・2号の二人とも普段から煙管服で過ごしており、いざ出陣となるとその煙管服を裏返しに着てヤッターマンに変身するのだ。
 別にヤッターマンへの変身願望があるわけではないしコスプレマニアでもない。もしそうなら重症だ。ただ単にデザイン的にかっこいいかなーと思って似たような煙管服が欲しいと思っただけのことだ。
 
 先日、
「どっかにヤッターマン仕様の煙管服売ってねぇかなー」
と、ボソッと呟いたその傍らで相方が即答した。
 
「アンタが着てもヤッターマンには見えないわよ。せいぜいがトンズラーね。」
 
 
さて、朝バナナダイエットでも始めるか・・・。
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『 2008年09月16日 五感を研ぎ澄ませろ!! 』
 先日、相方に強要されて某大型レンタルチェーン店(通称 TUTAYA)に同行する破目に。
実は自分も以前から気になっていた映画があったので、それならばついでにそのDVDを一つ借りてもらうべか?と思ってさんざん探し回ったが、なかなか目当ての物を見つけることができなかった。
 ちなみに気になっていた映画というのは「WILD HOGS(邦題は“団塊ボーイズ”というなんともマヌケなタイトルでありながら自分の年齢には妙にマッチする題名)」というバイカー系の洋画だったが、普段からどっちかっつうとマイナーな日本映画のほうが好きな自分には完全に管轄外であった。
 
 そもそも40年間生きてきてTUTAYAチックな大型レンタル店に出向いて自ら借りたという経験はこれまでに1度しかなく、今でもこういったメジャーな大型店は苦手だ。その最初で最後の経験時に何を借りたのかはもう記憶が定かではないが、たぶんスターリンか石井聰亙作品あたりだろう。
 当時学生だった自分にとってビデオは高級商品だったためおいそれとは手が出ない。しかもだいたいが自分の見たいものというのは比較的マイナーな部類に入る作品だったので田舎のレンタル店に並んでいることも殆どない。ところがある日、何気に立ち寄った大型レンタル店でその1本見つけてしまった自分は決死の思いで入会手続きを済ませたものだった。
 その1本を見たいがために作ってもらった会員証なんて物も、その直後から行方不明となったきりですっかり期限切れになっていることだろう。
 
 そんな大型レンタル店の陳列ルールなんて全くわかっていない自分には、大量の作品郡の中から目当ての1本を見つけるなどということはとうてい無理だ。無理に決まってる。自分はそんな器じゃないんだ!などと葛藤を繰り返しつつ時には全くジャンルの違うコミック誌コーナーにまで迷い込みながら店内を彷徨うこと30分。とうとう諦めてこの道のベテランである相方に助けを乞うことに。
 
「え〜っと、なんとかボーイズっていうアメリカ映画がどうしても見つからないんだけど、ここには置いてないのかな?」
「あぁ、トラボルタのね。そんなメジャーな作品が置いてないわけ無いじゃない。」
 
 と、サラっと言ったかと思うと約1分20秒ぐらいで目当てのDVDを見つけてきてくれた。いや、別に時間を計っていたわけではないけれど。
 自分が30分かけて隅から隅までずずずいぃ〜っと探したにもかかわらずお目にかかれなかったDVDを、約1分20秒でだ。だから正確に1分20秒ではないと思うのだけれど。それぐらい早かったということだ。
なんですかね、この差は。。。私はそんなに鈍くさいですかね。。。
 
 以前からずっと感じていたことがある。
レンタルビデオ店に限らず、ジーンズの専門店、家電の量販店、デパート、ブランドショップ。そういったメジャーな大型チェーン店というところではどうやら私の五感を狂わせる“何か”を発しているようだ。
 その日、それを確信した!
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『 2008年07月18日 トラブルジャンキーHの海外出張編。 』
 そんなトラブルジャンキーHが海外出張に出掛けました。
海外といってもニューヨーク、ロス、あるいはロンドン、パリなどといったように世界を相手にビッグ・マネーを動かしているやり手の貿易商のようなことはありません。トラブルジャンキーH(以下、めんどくさいのでジャンHに省略)が向かったのはそんな先進国ではなくどちらかと言うと発展途上国と呼ばれていそうなアジアの国、そんな中でも中心地ではなく更に貧しいであろう田舎の地方でした。
 ジャンHがそんなところまで何をしに行ったのかはここでは特に問題ではありませんので書きませんが、いずれにしても言葉の通じない国での業務遂行は大変な事です。もちろんジャンHは言葉が通じないからと言ってビビッて体が固まってしまうような臆病者でもなければそんな繊細な心の持ち主でもありませんが、さすがに身振り手振りだけで業務を全うするのは無理だろうと判断し、現地をガイドできる人間を日本から同行させました。
 さて、現地に到着したジャンHの目には、たまにテレビのドキュメンタリー番組等で見かける貧しい国の人々が現実のものとして映っていました。舗装のされていない狭い道路脇にはゴザを敷いて商売をする女とその傍らに転がされている幼児。いや、幼児にも満たないであろう乳児にさえも見える赤子が横たわっています。そんな露店の他にはただじっと座って行き交う人々を見つめている結構な人数の少年少女達。
 時折りそんな少年少女達と目が合います。すると、それはそれは愛らしい表情でニコッと微笑みかける子供もいれば、悲しそうな表情で何かを訴えかける子供もいます。この子達の親はどこにいるのだろうか?ジャンHは色んな疑問をガイドに投げかけました。
 
ジャン 「こりゃあ想像以上だな。ここまで貧しい国だとは思っていなかったよ。」
ガイド 「そうですか。この辺りじゃこれが当たり前の光景ですよ。」
ジャン 「あのガキ共、日本じゃ小学生ぐらいだよな。学校とか無ぇのかよ。」
ガイド 「学校なんて行きたくても行けないのですよ。あの子達もみんな働かなきゃ食べていけませんから。」
 
ジャン 「働くって、、ただボーっと座ってるだけじゃんかよ。」
ガイド 「いやあ、あれで働いているんですよ。彼等は。」
ジャン 「・・・?」
 
ガイド 「そこで何か売ってる女が居るでしょ。その横で泣いてる小さな子供、あれも実はあの女の子供じゃ無いんですよ。」
ジャン 「!? マジで?」
ガイド 「あれはですね、乳児を借りてきて外国人相手に商売してるんですよ。」
ジャン 「借りてきてって、、、貸すほうも凄ぇな。」
ガイド 「そりゃ貸すでしょ。貸すのもまた商売ですから。」
ジャン 「ああやって外人の同情引いて物売ってるのも凄ぇが、レンタル赤子の商売なんて日本じゃ考えられねぇな。」
ガイド 「そうですね。ここでは日本人なんて最高の客でしょうね。」
ジャン 「危うく欲しくも無ぇモン買うとこだったぜ。危ねぇ危ねぇ。」
 
ガイド 「あ、そうそう。ここで財布は出さないで下さいね。」
ジャン 「何でだ?金出さなきゃ何も買えないだろ。」
ガイド 「まぁそうですね。どうしても必要な時は最小限の小銭を裸でポケットから出して使って下さい。お金があるのを知られると厄介ですから。」
ジャン 「なんだよ、大袈裟だな。いくらなんでもこんな日中の人ごみで刺される事も無ぇだろうよ。」
ガイド 「ええ、まあ、ここには強盗は居ないと思いますが、間違ってもあの子供たちにお小遣いをあげようなんて思わないで下さいね。“ありがとう”すら言ってもらえませんよ。」
ジャン 「ちぇっ、小学生にもなって“ありがとう”の一言も言えねぇなんて、やっぱり学校行ってちゃんと教育受けさせないとダメじゃねぇか。」
ガイド 「とにかくお金だけは絶対にあげないで下さいよ。絶対に。」
 
 さて。
 
“絶対にするな”と言われて何もしなければ彼がトラブルジャンキーと呼ばれることもないのだが。。。
案の定、ジャンHはガイドの目を盗んで一番近くにいた子供に少しの小銭を与えてみた。本当に“ありがとう”と言えないのかどうか確かめたかったそうだ。すると子供は目を輝かせてジャンHを見つめ、奪い取るようにその小銭をポケットに入れるとすぐさま両手を出してこう言った。
 
 「モア」
 
ガイド 「あっ!? ちょっとHさんっ! 何やってるんですかっ!!」
ジャン 「い・いや、ちょっと確認のために。。。」
ガイド 「金見せちゃいけないって言ったでしょう。」
ジャン 「あ、でもほら、この子ちゃんと何か言ったぞ。ありがとうって言ってるんじゃないのか。」
ガイド 「ち、違いますよ! ほら、“more”って言ってるじゃないですか。“もっとくれ”と言ってるんですよ!」
ジャン 「!!!」
 
 その時、そんなジャンH達の様子を廻りで伺っていた子供達が一斉に立ち上がった!それまでは悲しそうな表情を見せていた男の子も、それはそれは愛らしい笑顔を見せていた女の子も、皆一様に険しい表情となってこちらに向かって走ってくる!
 「モア!モア!」と叫びながら。
 
ガイド 「だから言ったでしょ!ほら、早く逃げますよ!」
ジャン 「に・逃げるのかっ!?」
ガイド 「そうですよっ!あの人数の子供達に捕まったら大変なことになりますよ!ホラ、早く!」
ジャン 「わ・わかった。逃げよう!」
 
 ジャンHとガイドは走った。
 言葉の通じない異国の地で走るオッサン二人。
 その後を追う大勢のうす汚れた子供達。
 
 黄土色の土煙を巻き上げながら全力で逃げるオッサン二人。
 革靴のそれよりも分厚くなった皮膚を持つ素足で追いかける、大勢の裸足の子供達。
 
 見知らぬ暑い土地で否応無に全力で走る事を強制されたオッサン二人。
 廻りに座っていた他の子供達も巻き込みながら増え続ける子供達の集団。
 
 ポケットから少しの小銭を投げつけて追っ手を拡散しながら逃げるオッサン二人。
 これが俺達の仕事なんだ!と言わんがばかりに殺気をみなぎらせて追ってくる集団。。。
 
 おっさん二人が“ランナーズ・ハイ”に陥る寸前、汗だくの額を光らせながら後ろを振り返ると、暴徒と化した子供達の集団はすっかり見えなくなっていた。彼等にもそれなりのルールがあるのだろう。。。
 国内はおろか異国の地に於いてまでもその性格からトラブルを呼び込んでしまうトラブルジャンキーHと、その被害者となってしまったガイド。そんなオッサン二人の珍道中でした。
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『 2008年07月09日 続・あいつから言葉を奪え。 』
 男 「ひとつ、、ふたつ、、みっつ、、よっつ、、ごっつ、、」
 オレ 「いつつ、ね。」
 
 男 「“ちっぽけ”だったあおむしが、今ではこんなに“でっぽけ”に!」
 オレ 「でっかく、ね。」
 
 
 もっとちゃんとした教育が必要じゃねぇのか?
 
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 先日、そんな男のためにと相方が借りてきたDVD「ゲゲゲの鬼太郎(実写版)」を見てみた。
で、男の野郎はっつうと妖怪の出てくるシーンだけは奇声を発しながら興奮して見ているが、その他のシーンになると傍らに置いてあったアンパンマンのパズルに夢中だ。まだ物語の展開が理解できないのだろうから仕方が無い。ストーリー的な盛り上がりよりもビジュアル的な派手さに興味がいくのだろう。
男にしてみればそこに 「鬼太郎(実写) < アンパンマン(パズル) < 妖怪(実写)」 という公式が成り立つのだろう。
 
 そんな感じで見てるか見てないかもわかんなかった「ゲゲゲの鬼太郎(実写版)」だったが、歌は気に入ったようで今日も大声で歌い続ける。やかましいぐらいに。
 
 男 「♪ゲッ! ゲッ! ゲッゲゲのゲェ〜〜〜♪」
     「♪朝〜は 寝言(ねごと)で ぐぅ〜ぐぅ〜ぐぅ〜〜〜♪」
 
 オレ 「あ、惜しいけど、そこちょっと違うよ。たぶん。」
 
 
 もっとちゃんとした教育が必要だよな?
 
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 さて、そんな男の通う集団生活訓練場(俗に保育園だとか、幼稚園とも言うらしい)では、将来有望なバイリンガルな人間に育てるべく日本語もままならない状態の日本人に英語を教えてくれている。私のように日本語以外では“おフランス”の言葉しか理解できていない親にとっては非常にありがたいことだ。メルシィ。(もちろんウソだが)
 
 今日も自宅では習ってきたばかりの英単語が続々と発せられているが、発音が本格的すぎてなかなか聞き取れない・・・。
 
 男 「まんきー!」 「らぁ〜いあんっ」 「じっらーっふ」 「ひぽぽぽぽ・・・」
 
 ・・・どうやら動物の名前が羅列されているようだ。
かと思えば次は歌が始まった。
 
 男 「♪エ〜ロ、エ〜ロ! ワッチャーネー♪」 (♪ Hello, Hello, What your name? ♪)
     「♪エ〜ロ、エ〜ロ! ワッチャーネー♪」 (♪ Hello, Hello, What your name? ♪)
 
 オレ 「う〜んと、その歌、あんまり大声で歌わないほうがいいと思うけど。特に最初のエ〜ロ、エ〜ロの部分ね。」
 
 
 もっとちゃんと教育しろよっ!
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『 2008年06月21日 梅雨空の隙間に。 』
 とても美しいタイトルで始めてみた日記ですが、そんなにキレイなモンでもありません。わかってるでしょうけど。
 
 梅雨空の隙間からこぼれるお日様の暖かい光に誘われたかの如く、庭の隅でこっそりと咲いていた小さな黄色い紫陽花(あじさい)を見つけて僕は・・・、じゃなかった、、、ジメジメと胸クソ悪い梅雨の間に溜まるだけ溜まってしまうストレスを少しでもぶっ飛ばそうと、僅かに得られたチャンスを利用してライド・オン!
 
 山の方は降ってんじゃねぇの?ぐらいに物凄く怪しい色をした空の下、1週間ほど前に装着したマフラーの様子を見るべくちょこっとだけ走るつもりが、ついうっかり2時間も走ってしまう。
 で、そんなマフラーの調子はと言うと予想通り純正にも匹敵する、いや、純正をも凌ぐくらいのレベルで“静か”な音なので、走っているとジェットヘルメットの風切り音のほうがうるさくて排気音なんてほとんど聞こえない。。。音に関してはもちろんそれを望んでチョイスしたマフラーなので充分満足しているが、それよりも何よりもルックス的に渋さ大幅アップで大満足なのだ。渋さ的にどれだけアップしたかというと、オヤジ狩りに遭ってたオッサンがジャニーズからスカウトされてしまうぐらいの変貌ぶりだと思ってもらえるとわかり易いだろう。
 
 音がそんな調子なので装着後のマフラーの具合はどうだったのか?という大事な部分をよくわからないまま走り終えてしまったが、とりあえずアクセルの開閉に合わせて普通に走ってくれるしマフラー自体を落っことしたりもしてないようだし、特に大きな問題は無いかと思われる。
 ただ、巷でよく言われている独立管がゆえのトルクの細さが、、、とか、時と場合によっては左の内股が非常に熱い、、、とか、細かいところで気になった部分は多少あるのだけれどそれは今後の対策(楽しみ)として取っておく。
 
 それよりも何よりも(←2度目)、ついうっかり2時間も走ったことに加えて、ついうっかり半袖ポロシャツなんていうトラディショナルなファッションで走ったもんだから腕が日焼けしてしまって大変なことになってしまった。。。
 梅雨時期の曇り空をなめちゃいけませんね。こんなゆでダコ状態の腕で明日から“手タレ”の仕事をどうするか? そいつを早急に考えないといけません。(ウソ)
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『 2008年06月12日 あぁ、薔薇色の人生か!? 』
 「タバコ1000円時代突入か!?」
みたいな報道がされていますね。愛煙家としては大変な時代を迎えようとしているようです。
 そんな報道の内容については各自ググってみて頂ければ、その報道の真意から政治家の深層心理でうごめく目論見まで見えてきて面白いかも知れません。どうでもいいですけど。
 
 さて、タバコを1日に1箱程度吸っている現在、1箱300円が1000円になるってことは1日にプラス700円の支出増です。1ヶ月30日として700円×30日=21000えんっ!
 月21000円の支出が増えるってどうなんでしょう!?もう貧乏生活まっしぐら決定じゃないっすか!貧乏“生活”どころか、ヘタすりゃ“生活”できませんね。メシ喰ェませんね。人間として生きていたいのならもうタバコやめないとダメですね。タバコ代だけで月3万円ですから。
 それ以前に健康上の害も言われ続けていますからね。「百害あって一利なし」って言うんですか?そうは言っても愛煙家としては実際に病気にでもなってしまわない限り、なかなか「もうタバコやめよう!」という決心がつきませんよね。今回の報道が現実の物となった場合、出来ることならば“やめたい”と思っている愛煙家にとっては良いきっかけにはなるのでしょうか。
 で、仮にタバコをやめちゃったとしたら、、、? 月3万円の生活費(←この場合生活費という呼び方は不適当)が浮くわけですよ!
 
 
・実際にタバコをやめたと仮定して、、、
 月に3万円もあるとCDなら10枚づつぐらいは購入できますね。最近あまり手を出せていなかった御涙ボロボロもんの80年代の復刻盤とかも買い放題ですね。あるいは復刻なんて待たずともプレミア必至の超お宝音源もゲットし放題ですね。
 ヤフオクなんかでもバンバン入札しまくりですね。「現在の価格:」にも躊躇することなく上乗せですね。
 それともこれまで手を出さなかった21世紀型の最新音楽に触れてみるのもいいかもしれませんね。あらゆるアーチストの新作アルバムなんかも全部買ってしまえますね。
 
 
・実際にタバコをやめたと仮定して、、、
 月に3万円もあると昨年乗り換えた相棒のカスタムなんかもどんどん進みますね。ハンドルなんか気に入らなければ月に2〜3本は買えますから。
 タイヤだって毎月替えても大丈夫ですね。「今月はホワイトリボンな気分で」とかね。もちろん1度履いたタイヤはどんだけ山が残っていようと再利用の必要なんてありませんね。来月にはまた新品を買えますから。
 オイルもそうですね。ガソリンと同じ感覚で消費しても大丈夫ですね。ガソリンを給油するたびに新品のオイルに交換しましょう。もちろん入れるのは最高級グレードです。
 
 
・実際にタバコをやめたと仮定して、、、
 月に3万円もあるとインターネットの有料サイトにもアクセスし放題ですね。
 レンタルサーバーなんかも無料サーバーを探す必要もないですね。もう不要な広告表示とは“さようなら”です。
 各種いろんなサイト(主にムフフなサイト)も「ここまでなら無料。ここから先はちょっとヤバイかも。」なんて心配は必要ありませんね。高画質でくっきりハッキリ最上級な動画を取り放題・見放題・○○放題です。
 もちろんそれらを保存するハードディスクも超大容量かつ高品質なものを構えることができますね。なんせ永久保存版となる大切なデータ郡ですからね。
 
 
 なんだ、タバコさえやめればこの先、薔薇色の人生が待ってんじゃん!!
 
 って、何か考え方が間違ってますかね?
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『 2008年05月30日 オナニーズ・マニュアル。 』
 前回のタイトルが「恋文」だった日記に続いてこのタイトルはいかがなものか?
といったご指摘もあろうかと思いますが、そんな前回の日記もけっしてステキな中身とは言えなかったので。。。
 
 「オナニーズ・マニュアル」
 初めてこの快楽を覚えたのは・・・まだ幼い・・・そして膨らむ妄想の中・・・やがてやって来る、この・・・
 じゃなくって、「オーナーズ・マニュアル」ね。
 
 ハーレーのオーナーズ・マニュアルってヤツを買ってみました。
ちゃんと2005年式である相棒の年式に合ったもので、スポスタからV-RODまで同年式全車種の情報が載っているものです。なので結構分厚い本ですがあんまり目新しい情報は載っていません。まぁ細かい車体寸法やら機関情報なんかの数値データが記載されているので、少しは役に立つ部分もあるのでしょうか。
 
 そんな中、車両の取扱説明部分に於いて驚愕の事実が発覚!
「エンジン停止の際は右ハンドルのコントロールスイッチにある“RUN ⇔ STOP”スイッチでエンジンを停止。その後、メインスイッチを切り、全電源をOFFにする。」って。。。
 マジっすか!?
 
 これっていわゆる「キル・スイッチ」ですよね。これまで20年近くバイクに乗ってきましたが、キル・スイッチでエンジンを止めたことなんて一度もありません。止める時は必ずメインスイッチを切ってました。
 っつうか「キル・スイッチ」なるものが装備されたバイクにすらほとんど乗ったことがありません。キル・スイッチとは普段からエンジンを停止させるために使うスイッチだったのですかっ!?
 
 このスイッチでエンジンを止めている人がどれだけいるのか!?
 ハーレーに乗っている人はこの事実を知っているのか!?
 アメリカ人は本当にこのスイッチでエンジンを止めているのか!?
 
 と、ひとしきり驚いてみせたところでマニュアルをたたみ、部屋のすみへ追いやる。
こういったマニュアル的なものは新車を買えば付属してくるものですかね?バイクにしても車にしても買うのはいつも中古ばかりなので新車を買えば何が貰えるのか全く知りませんが、取扱説明書もちゃんと読めばちょっとした新発見がありますね。
 
 
 あ、エロネタかと思って喰い付いて来た方には、ごめんなさい。
 下着ももう脱いでしまっていた方には、もっとごめんなさい。
 既に先走ってしまっていた方には、更にごめんなさい。
 
 ちなみに、このオーナーズ・マニュアルにはビデオテープも付属していましたが、これはまだ未見なので内容は不明です。エロビデオでない事だけは確かですが・・・。
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『 2008年04月23日 恋文。 』
 前略、お元気ですか。
 
君と別れてからもう10ヶ月が過ぎようとしています。
昨年君と別れた季節が今年もそこまでやって来ています。
月日の流れが早いのは年齢のせいでもあるのでしょうね。
君と別れた日は悲しそうな色をした空から
今にも涙が落ちてきそうな曇り空でした。
そんなことは君はもう覚えていないでしょうね。
 
君と付き合っていた10年という年月は過ぎ去ってしまった過去と
なってしまいましたが、とても忘れてしまえる過去ではありません。
 
君はとても我が儘でしたね。
君はよく機嫌を損ねていましたね。
君はとても手のかかるパートナーでしたね。
それでも、やっぱり君が好きでした。
 
今になって思えば、
君が我が儘だったのも、よく機嫌を損ねていたのも
全て原因は僕のほうにありました。
 
あまり君にかまってやれなかったことを悔いています。
もっと一緒にいる時間を作ってあげられればよかったと思います。
今さら遅いですね。
 
今ではお互いに離れた土地で新しいパートナーを見つけていますが、
初めて君に出合った時のような衝動と感激はもうありません。
これも積み重ねた年齢がそうさせるのかも知れませんね。
 
新しいパートナーとは仲良く過ごしていますか?
新しいパートナーは我が儘な君に愛想を尽かしてはいませんか?
 
僕は今でも、道で君に良く似た姿を見かけると目を奪われます。
もちろんそれが君でないことはわかっています。
君と同じ雰囲気を漂わせている姿はどうしても気になります。
 
それはもちろん、今でも君を愛しているから。
 
 
 
「いやぁ、やっぱチョッパーってかっこいいよね!」
 
というお話し。
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『 2008年04月08日 新入生。 』
 春ですね。
新入生の季節ですね。
 
 我が社でも今年ひとりの新入社員がやってきました。
以前は毎年数人の新入社員を迎え入れていた我が社も、数年前からの不況続きで新入社員の入社もめっきり減りました。そんな中、今年入ってきたのは30代半ばの中途採用ひとりだけという状況。しかも現従業員の定年退職によって本当に困ってしまうであろう業務に対し、遅すぎる対応とも取られそうな必要に迫られた採用です。
 中途採用というのは全くの新人というわけではなく多少なりともこの業種の知識を持っているので会社としても有難いようですね。
 
 さて、そんな新入社員のM君。
前述のような理由もあり本来ならば配属された部署での業務内容を早急に覚えて戦力になってもらわないと困るのですが、何故かあまり姿を見かけません。日に何度かM君の座っているべき机のそばを通るのですが、ほぼそこにM君の姿はありません。
 確かに人手不足が限界状態である現状況では新人に付きっ切りで教えてやれる先輩なんていませんし、皆自分の業務をこなすのが手一杯という状況ではありますが、それにしてもM君、一日の殆どをいったい何処で過ごしているのでしょう?
 入社からかれこれ一週間、周りの人に聞いても誰もM君と話すら交わしていないようです。休憩時間ともなると各職場の人達は皆ぞろぞろと表に出てきて煙草を吸ったりジュースを飲んだり、あるいは別の部署の人達と談笑したりと、普段一緒に仕事をしていない部署の人達とも顔を会わせています。
しかし、そこにもM君の姿は見当たりません。
 昼食時になると全従業員の半数ぐらいは会社の食堂に集まってきて食事をしています。が、ここでもM君が食事を取っている様子はありません。
 食堂には入らず自分のテリトリーで自由に食事を取っている人もいますが、M君の職場の近くで昼食時に彼を見かけた人もいません。昼飯も喰っていないのでしょうか?
 今朝、ラジオ体操をしている姿は見かけたので出社していることは間違いないのですが。。。
 
 入社から一週間、勤務中はおろか休憩時間や昼食時にもほとんど姿を見せないM君。
一刻も早く戦力として業務に従事してもらいたいのに仕事をしている姿を見たことがないM君。
それどころか誰とも会話の痕跡すら残していないM君。
 
 本日、私はひとつの結論に達しました。
 
 
 M君は、
 
 
 M君はきっと、、、
 
 
 ウルトラマンなんじゃねぇの?
変身してどっかで戦ってるんじゃねぇの?
地球のために戦うのも非常に大切なことでしょうが、できるならば今は会社のために戦ってあげて下さい。
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『 2008年03月28日 片田舎の通勤事情。 』
 私の住む片田舎では公共交通機関っちゅうものがあまり発展してないので通勤はもっぱら車であります。と言うか通勤に限らず何処に行くにも殆どの場合が車なんですが。
 おかげでギュウギュウ詰めの通勤満員電車で痴漢に間違われやしないかとハラハラドキドキする事もなければ、毎日同じ時間の同じ電車で遭遇するステキな女性と恋に落ちる、なんていうトキメキもないのであります。
はたしてそれが有難いと思える事なのか、「ちっ!つまんねぇの。」と思ってしまう事なのかは置いといて、毎日々々草臥れたオンボロのグロォリアワゴンで通勤しているのであります。
 
 こんな片田舎でも普通のサラリーマンがマイカーで通勤しようものならば多かれ少なかれ朝夕の通勤ラッシュという民族大移動に巻き込まれるものなんでしょうけど、幸いにも私の通勤ルートではそんな現象は発生しません。車の数が少ないのか或いは信号機の数が少ないのか理由はわかりませんけどね。
 「おいおい、どんだけ田舎に住んでんだよ。ぷぷぷ(笑)」などと思わず、「通勤時間帯でも混雑が起きないぐらいに道路の整備が進んだ地域に住んでいるんだなぁ。」と解釈して頂いても問題ないと思います。
 とまぁ、都会のサラリーマンに比べるとVIP待遇バリに快適な通勤時間を過ごしているように思えるでしょうが、それでも多少なりともストレスを感じながらの通勤です。
 誰に気兼ねも要らないマイカーで普通にスイスイとスムーズに走れる道路を走っていながら何がストレスなのか?と言うとですね、それは“リズム”ですね!(キッパリ)
 
 自分の周りに全く他の車がいなければ問題ないかも知れませんが、さすがにそうはいきません。自分の運転リズムと周りの車のリズムが合っていないんですね。いや、けっして私“だけ”が変なリズムで走っているというわけではなくて、、、そりゃあ確かに通勤時のBGMはノリノリのロックン・ロォ〜ルだったり、リズムすらも取る事が難しい激ハードコアだったりはしますが、人それぞれに己の運転リズムというのがあるようでそれが皆バラバラなんですね。
 前を走る車が遅くてイライラするという話はよく聞きますが、逆に後ろから来る車があまりにも接近しすぎていて気になってしょうがない、という事もあります。他にもウインカーを出すタイミング、ブレーキを踏むタイミング、信号の変わり際に取る行動、等々、全てが人によりバラバラです。そんな微妙な“リズム”の違いがストレスを生むんですね。
 もしもこの“リズム”というモノが万人全く同じであったとしたならばっ!?ひょっとするとここに渋滞解消の手掛かりがあるのかも知れません。
 ちなみに、この“リズム”についての発見は「運転時における脳内リズムの個体差と自動車事故発生率との因果関係」という題目で2008年度学会で発表する予定なのでパクらないように。
 と、ここまで読んでくれた皆様お疲れ様です。ここまでが前置きです。おそらく文章全体の半分以上をこの“前置き”で浪費していることでしょうけど気にしないで下さい。どっちかっつうと本編よりも前置きのほうに力を入れてタイピングしています。
 
 さて先日の通勤時。
前を走っている車(1000ccぐらいのコンパクト・カー)が非常に遅い。おそらく私のペースから比べると20キロぐらいは遅い。普段から草臥れたオンボロのグロォリアワゴンの非力さを考えると、とても追い越しなんていう行動には出ないのだが今回ばかりはリズムが違いすぎる。チャンスがあれば追い越したほうがいいんじゃないの?と思ってしまうぐらいのスピードだ。
 しかしながら、よく見ると前を走っている車の後部には初心者マークが逆さまになったようなステッカーが貼ってある。もみじマークって言うんでしたっけ?「運転者はお年寄りなんですから、周りの車は気を使ってあげてね♪」というアレね。リアガラスを通して見える雰囲気から察すると運転席と助手席には白髪の老夫婦が二人並んで乗っているようだ。周りを気にする事も無くマイペースでのほほんと運転する年老いた夫と、そんな夫の安全確実な運転に命を預けるこれまた年老いた妻、といった感じだろうか。
 そういう事ならばしかたがないので少し我慢して大人しく後ろを付いて走る。
 
 が、しかし。
それにしても遅いっ!そして後ろから見ていても非常に危なっかしい運転が続く。まず車が左に寄り過ぎている。左のタイヤはずっと路肩との境目である白線を確実に踏んで走っている。いや、むしろ車体が左の白線を跨いで走っている。対向車とぶつかるぐらいなら道路際の溝に落ちたほうがマシだ、という心の現われなのか?或いは遅くてゴメンね。どうぞ追い抜いて行って下さいね。という意思表示か?にしては、時々グイッと右に寄ってしまうのは何故か?
 そして更にマイ・グロォ〜ロアの後ろからは大型ダンプが付いて走っており、こちらもちょっとイライラしている様子だ。老夫婦の車、そしてマイ・グロォ〜リアの2台もろとも追い越しをかけてきそうな勢いさえ伺える。
 
 そんな運転が続く中、私は右折するためにウインカーを出し右折車線へと進路をとる。すると老夫婦もそんな私を遮るかのようにウインカーを出さずに右折車線へ・・・。
ま、まぁ、いいだろう。ウインカーを忘れることなんて誰にでもあるさ。。。
 ちょうどタイミング良く、前方の信号が黄色から赤に変わり右折OKの矢印が出る。当然前の車も右折するものだと思い込んで進んでいる私の目前で“ピタリ”と止まって見せる老夫婦。比較的車間距離を開けていた私は問題なく止まることができたが、その後ろからは大型ダンプの急ブレーキの音が聞こえてきた。
 いやはや、もう勘弁して下さい。いつまでもアナタ方のマイペースなリズムにはお付合い出来ません。。。ということで矢印の出ている右折車線でビタリと止まっている老夫婦の車を横目に、私はその更に右側から追い越して右折した。
 その直後、そんなマイ・グロォ〜ロアを見て気付いたのか、あるいは“プワァ〜ン”という大型ダンプの24Vエアーホーンに驚いたのか、まったりとしたスピードで老夫婦も右折してきた。そんな様子をルームミラーで見ていると、既にOKサインの矢印は消えていたようで大型ダンプは右折してこない。
 で、そのとき初めて気付いたが老夫婦の車はずっとワイパーが動いていた。常人の発想ではこの晴天にワイパーは必要ないだろうに何かのおまじないだろうか?
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『 2008年01月07日 あての外れた仕事初め。 』
 新年初日、仕事始め。
逆に疲れきってしまった連休から気分も一新、朝のラジオ体操に励んでいるところ、「ちょっといいかな。」と営業マンから声をかけられいきなりの日帰り出張命令下る。。。マジっすか。
 なんでもユーザー様が当局と揉めているらしくメーカーの人間として一言意見を述べて欲しいそうで、当局の人間を待たせてあるから早急に、出来れば午前中には来て欲しいという話だ。行き先は約300キロほど先の内海に浮かぶ島に建てられた造船ドック。慣れた人間でも高速をぶっ飛ばして3時間半ってトコか?どう考えても無理でしょ。今からじゃ。
 「先方には“もう出発した”と言ってあるから、とりあえず早く出て。」、、、ってうちは蕎麦屋の出前っすか!?
 「はいコレETCのカードとガソリンスタンドの給油カードね。車はコレ使っていいから。ちょっと距離走ってるけどたぶん大丈夫だから。一応カーナビも付いてるし。」
 ということで与えられたオンボロの社用車で小雨の降るなか高速をぶっ飛ばすことに。
 
 で、3時間半後。
 「目的地付近です♪」
と優しい女性にみたてた軽やかな声で訴えるGPS搭載カーナビゲーションシステムの導いた場所は何も無い、本当に何も無い海岸線の、車の行き違えさえ困難な細い堤防脇道路上だった。
 
 くっそぉ、騙されたか。
 
 こうなったらディジタル兵器なんかに頼ってる場合ぢゃない。アナログ山狩り作戦の如く付近を巡回しながら捕獲した地元民に道順を聞きだすしかない。
 海岸で得体の知れぬ緑色の水をチャプチャプやっていたオジサン。路上で1歳にも満たないであろう餓鬼をあやしていた若い夫婦とその義父らしき初老の男。全くといっていいほど車の通りもない工事現場にただ立ち続ける旗振りのアルバイト。そんな彼等に道を聞きつつ見知らぬ土地でさまようこと約30分、「アンタどっから来たの?えれぇトコまで入り込んじまったなぁ・・・。」とか言われつつやっと目的の造船ドックにたどり着いた時には既に正午を30分ほど過ぎていた。
 
 とりあえずメシなんか喰ってる暇も無いんで先方担当者に面会し、そのまま与えられた業務を遂行すべく当局の人間との話し合いに入る。この業界にはほぼ素人に違いない若い当局担当者には明らかに“問題有り”という状況に写るであろう現状を目の前に、「えー、メーカーの見解としてはですね、全く問題無いですね。現状のままでよろしいかと思われます。」とキッパリと言い放ち本日の業務終了。腕時計の示す時刻は午後2時。
 
 さて今度は往路に勝るとも劣らない速度でぶっ飛んで帰らなければならない。腹を空かせた餓鬼が集団生活訓練場でひとり迎えを待っているからだ。
 結局メシなんか喰ってる時間も無く、途中立ち寄ったサービスエリアで買った肉まんなんぞをむさぼりながら高速を飛ばし続けるが時間は刻々と過ぎていく。
 あてにならないGPS搭載カーナビゲーションシステムは高速道路優先で帰路を誘導しているがそれを無視して高速を下り、距離的には近いであろう道路脇に溶け残った雪の残る山越えルートを選んだことを後悔しつつオンボロ社用車で飛ばし続ける。
が、どう考えても定刻には帰り着けそうにない。
 
 途中、会社に電話。
「えーっと、今山頂トンネル抜けたとこです。もう時間も時間なのでそのまま直帰ってことでよろしく。」
 と連絡を入れ、夕刻6時過ぎに無事生還。
 
 年末年始の休暇中に餓鬼の相手に疲れきりボロボロになった身体を、一人きりの職場で今日はゆっくり休めてやろうと企てていたが、そんな企みを見透かしたかの如くとんでもない仕事始めになってしまった。
 天は見ていたのか?
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『 2007年11月16日 トラブル中毒。 』
 事の始まりはひとつの接触事故だった。
仕事柄、出張等でいつも使用している社用のワンボックス・カーが出先の現場で止めている間にフォークリフトに突っ込まれたというものだ。相手が相手だけにかなり大きな傷跡が残ったばかりか、左サイドのスライド・ドアーは開けることができないぐらいに変形してしまう程の事故だったようだが、幸いにも事故当時には全員現場で作業中だったため誰も乗っておらず大事に至ることは無かった。
 その社用ワンボックス・カーの担当でもありいつも使っているH(以下、トラブル・ジャンキーHと呼びたい)にとっても自分の車というわけでもなくしかも完全に被害者の立場であったわけだし、後々の処理は会社と保険屋がやってくれるのだから何も問題は無かった。まぁ、この事故の内容に関してはここでは特に関係ない。問題となる出来事はそれから数日後に起こった。
 
 さて、事故からしばらくたったある日。
会社としても傷付いて使えなくなった車をこのまま放っておくわけにもいかず、修理をする段取りに入ったようで修理屋が事故車両を見にきていた。そして車の損傷状況を一通り見回した後、「まずは必要な部品の値段を調べて見積りをさせて頂きます。」と車の形式や車体番号等を把握するため車検証を取り出そうとしたその時、大きな問題が発覚した。
 無いのだ。車両には必ず搭載を義務付けられているハズの車検証が無いのだ。車の担当者であるトラブル・ジャンキーHも「アッチョン・ブリケ!」だ。「いやいや、そんなハズは無いだろう。」といくら探してみても無いものは無い。車両を天上クレーンで吊り上げてひっくり返してみても(←ウソ)落ちてはこない。しかもよく見ると通常車検を受けている車には必ず貼られている、いや、貼られていなければならないフロントガラス中央上部の四角い小さなステッカーさえも無いのだ。
 車検を受けていないハズは無いから必ずどこかにある。と、なおも探し続けるトラブル・ジャンキーH。車両をフォークリフトで持ち上げて揺さぶってみても(←もう一回ウソ)出てこない。アセチレン・ガス・バーナーを引っ張り出して車両を半分に切ってみても(←しつこいですか?ゴメンナサイ)出てこない。
 そこでフと思い当たる事があったようで、「車検? そういえば1か月ほど前に某Dラーで車検を受けたばかりだったな。ひょっとして・・・。」まさかと思いつつも車検を受けた某Dラーに電話をするトラブル・ジャンキーH。そしてそれにさも当たり前かの如く答える某Dラー「あ、車検証ですね。こちらにあります。」って、、、
 「“あります。” じゃねぇよバカ野郎! すぐに持って来い!!」
と、ブチ切れるトラブル・ジャンキーHだったが、よく見ると電話口の声ではブチ切れながらも顔が笑っている。
 (あ〜、やっぱりこの人、こういう“自分に落ち度の無い”トラブルは大好きなんだなぁ)
 
 まぁ、自分の車では無いにしろほぼ毎日、どっちかっつうと自分の車以上に使っている車両に車検証が搭載されていない、という事実に気付かないトラブル・ジャンキーHにも多少なりとも落ち度はあったと思うが、車検を受けた客に1か月も車検証を渡さないどころか「取りに来てくれませんか?」といった連絡すらよこさないDラーもちょっと怠慢過ぎだろう。
 
 それから数時間、なかなかやって来ないDラーの人間をイライラ(ワクワク)しつつもその時間を楽しむように待ち続けるトラブル・ジャンキーH。(以下、めんどくさいからジャンキーHと呼びたい)
 (そしてこの時すでに数時間も経っている時点で某Dラーとしてはヤっちゃってるわけだが・・・)
 
 やっとのことでのほほんとした表情を下げてDラーの人間と思われる一人の兄ちゃんがやってきた。
 「お世話になりま〜す、○○です。え〜っと、Hさん。。。すいません。こちらが車検証になります。」
と、やってきたのは“ボク新入社員で〜っす。まだ何にもわかってまっせ〜ん。”というオーラを全開に放ちながら作り笑顔も新鮮な若い兄ちゃんだ。もちろん1ヶ月前の車検時に顔を出していた営業マンでもなければ車検作業を担当したサービスマンでもあるハズがない。
 (あっちゃ〜、またやっちゃったよこのDラー。こんな新人寄こしちゃって猛獣の檻に餌放り込んじゃったよ。かわいそうにこの餌(兄ちゃん)、何も知らされずにやって来たんだろうなぁ)
 
 「ん? 兄ちゃん誰? 何の用? あ、そう、へぇ〜、Dラーの人? ○○はどうした? なんで来てねぇんだ?」
予想通りジャンキーHのお食事(お遊び)が始まった。
 「あ、いや、その、す・すいません。たまたま私がこの地区の担当になっていましたものですから。」
 「担当? そんなの関係ねぇだろ! 大事な書類を忘れてた本人が来るべきじゃねぇのか? お前じゃ話にならん。 ○○連れて出直して来い!」
 「そ・そうですね。申し訳ありません。○○は今外出中でしたもので、、、と・とにかく車検証を早急にお持ちしろという事で、、、こちらになりますので入れておきます。それからこのステッカーも貼らさせて下さい。それにしても1ヶ月も遅れてしまって本当に申し訳ありません、、、もしもその間に事故でもあったら・・・!?」
 と、シドロモドロになりつつも頑張って対応すべく、そこまで喋って青ざめる兄ちゃん。
 (グハッ・・・ヤっちゃったー!この兄ちゃん墓穴掘っちゃったよー)
 
 更に高級かつ美味なる食材を見つけたジャンキーHが逃さないわけがない。
 「もうやってるんだよっ! この前事故ったんだよ。 見りゃわかんだろうがっ! えーコラッ! 事故って初めて無い事に気が付いたんだよ! コレが無きゃお前んとこもずっとシカトだったんだろうがっ!」
 仁王立ちのままこれ以上の言葉も出ず引き攣った営業用スマイルで固まっている餌(兄ちゃん)を前に、ますます水を得た魚の如く活き活きとしてくるジャンキーH。
 「お前んトコの魂胆なんて見え見えなんだよ! お前だってどうせ何も聞かされてないんだろ? ただコレ届ければいいから、ぐらいにしか言われてないんだろ? わかってんだよそんな事は。 何も知らない人間に持たせといて、何事も無く済めばそれで良しぐらいにしか考えてないんだよDラーってトコはよぉ! 丸見えなんだよっ!!」
 エンジンの温まったジャンキーHはもう止まらない。冷汗と脂汗のハーフ&ハーフを垂らしながら何も言い返せない餌(新入社員君)を前に、ロ○テのガムでもそれ以上噛んでたら液体と化すんじゃないの?というぐらい執拗に噛み砕き続けること小一時間。もうお腹いっぱいになった(充分に楽しんだ)のか餌(兄ちゃん)をやっと解放したジャンキーHだった。
 
 「あ、Hさん。Dラーの人帰りましたね。やっと許してあげたんですか?」
 「ん? ああ、とりあえずな、とりあえず。くく。」
 (うわあ、この人まだ何か企んでるよ。しかも楽しそうに)
 
 さて、Dラーの新入社員君が帰った直後、ジャンキーH(以下、めんどくさいからジャンHと呼ぶ)は事務所からタウンページを持ち出して何やら調べ始めた。
 「おーい、どこに載ってんのかなー? 104(イチマルヨン)で聞いたほうが早いかなー?」
 「何探してるんですか? Hさん。」
 「あー、アレだよアレ。官公庁のさ、なんて言うの? 国土交通省かな。」
 「こ・国土交通省って・・・。また何企んでるんですか!?」
 「何も企んで無ぇよ。ちょっと教えてあげるだけだよ。あそこのDラーはこんなズサンな管理体制ですよって。お国に教えてあげるんだよ。おかげで私は車検無しと同等の車に乗らされていました。国として放っておいていいんですか?ってよ。こういう事はな、いくら当事者であるDラーに言っても無駄なんだよ。ちゃんとお役所に伝えないとねー。えーっと104(イチマルヨン)っと。。。」
 (うわあ、凄ぇよ。この人の行動力って凄ぇよ。仕事じゃこんなに動かないよー)
 
 「Dラーもさぁ、ちゃんと最初っから本人が誤りに来てればねぇ、、、ここまでやんないんだけどね。内々ですぐに済む話だったんだけどなぁ。あんな“ペーペー”寄こしちゃったからねぇ。それで済むと思ったのかねぇ。残念だったなぁ、お役所にバレればDラーのトップにも伝わるだろうしなぁ。もう社員全員がシボられる事になっちゃうだろうなぁ、きっと。くく。」
 (メチャクチャ楽しそうだよこの人。勤務時間中なんて関係ないみたいだ)
 「あ、もしもし・・・。え〜っと、ちょっといいですか? 実は先日ですね、、、△△〜〜□□××○○〜〜。はいそうです。じゃあよろしく!」
 
 で、その日の夕方近く。またまたDラーの人間が当社にやって来た。今度は2人だ。1人はスーツを着て名刺を取り出しながら頭をヘコヘコ下げている。もう1人は背中に社名の入ったサービスマンの煙管服を着て同様に深く頭を下げている。
 待ってましたとばかりに立ち上がったジャンHは2人を相手に一気にまくしたてる。そりゃあもう新入社員君の時とは比べ物にならないぐらいの勢いだ。暖気運転もそこそこに最初っからフル回転だ。2人の様子によるとDラーには既に運輸局からお達しも頂いているようで、全く反論もせず一方的に平謝りの状態だ。
 何かと対応が遅いという噂ばかりはよく聞くお役所関係だがこんな時は何故か俊敏・迅速・速攻で動くシステムが組まれているみたいだ。このDラーの不祥事はものの数分で担当の地方運輸局まで伝わったらしく地方運輸局からはDラーに対して業務改善命令なり最後通告なり、何かしらのお達しがあったようだ。
 
 ジャンHのお説教(余興)はまたまた小一時間も続いただろうか、満足げな表情で2人を帰したジャンH。
 「Hさん、話付いたみたいですね。やっと許してあげたんですか。」
 「ん? あぁ一応な。後はまた後日だな。二度とこのような不始末を起こさないようにと一筆書いて文書で示すように言ってあるからそのうち持ってくるんじゃないの。」
 (ぐへぇ〜、この人まだ喰らい付いてるよ!全っぜん離さないよぉ!)
 「やっぱりお役所には報告しとくもんだよなあ。対応がガラリと変わったもんなー。」
 
 それにしてもDラーはやらかしてしまったものだ。初めっからちゃんと当人が出てきていればお役所、あるいはDラーの上層部すら知らずに済んだ話だったかも知れない。ミスや忘れ物は誰にだってあるものだ。ちょっと失敗話として担当営業マンの胸の中だけで済んだ話だったかも知れないのに、まさかここまでの惨事に至るなんて。。。
 
 まぁ、傍から見てるぶんにはちょっと面白かったけど。。。
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『 2007年10月24日 ある夫婦のZ●●D。 』
--- とある夕げの食卓にて ---
妻「ねえ、Z●●Dってバンド知ってる?」
夫「ん?名前ぐらいは聞いたこともあるような気がするんだけど。。。それがどうした?」
妻「うちの子と同じ組で○○ちゃんって女の子がいるでしょ。その娘のお父さんがそのZ●●Dってバンドのドラムの人なんだって。」
夫「へぇ〜、そうなんだ。なんでまたこんな田舎でお父さんやってんだろね?」
妻「さぁ?私も詳しくは知らないわ。もうバンド辞めちゃったのかしらね?」
--- 会話終了 ---
 
 どうやらZ●●Dっつうのは、曲を出せば常にヒットチャート上位に食い込んでくるほど有名なバンドらしいのだが、若い頃からどちらかっつうとアンダーグラウンドな領域に含まれる音楽ばかりを好んで聞いてきた夫婦は、二人ともその有名なバンドをよく知らなかった。
 人によっては、
「そりゃ大変だ!今度会ったら是非バンドの事など詳しい話でも聞いてみたいもんだ。」とか、
「へー!そりゃすげぇな。そんな有名人が近くにいるんならサインぐらい貰っとこうぜ!」
と感動してグッと盛り上がる話題なのかもしれないが、いまひとつ盛り上がらないまま会話を終える夫婦であった。
 
 
--- 運動会に参加して ---
妻「ねぇねぇ、さっきアナタが親子競技に出た時さあ、隣に並んでた女の子のお父さんと何か話してたでしょ。」
夫「え?そうだっけ?」
妻「そうよ。入場門の一番前で並んでた時よ。」
夫「あー、そういや、そうだったな。向こうのお父さんがさぁ、これってどんな競技するのか知ってます?って聞いてきたんだよ。それにしてももう入場門に並んでるってのにまだ競技内容の説明もしてくれないってヒデェよな。こっちは何やらされんのかとドキドキしてるってのに・・・。」
妻「あのお父さんがそうなのよ。ホラ、この前話したナントカってバンドのドラム叩いてる人。」
夫「あ、そうだったんだ。へぇ。。。」
--- 会話終了 ---
 
 どうやらZ●●Dっつうのは、TVアニメの主題歌なんかも歌っているぐらいに一流でメジャーなバンドらしいのだが、若い頃からどちらかっつうと三流でマイナーなバンドばかりを追いかけてきた夫婦には、どうもピンとこないバンドだった。
 人によっては
「俺よお〜、この前Z●●Dのメンバーと一緒に運動会に出たんだぜっ!」とか、
「同じ競技に出てたから入場門で横に並んでてさぁ、向こうが話しかけてきてよぉ、、、」
と後になって自慢話の一つでもおっぱじめようものなのだろうが、できあがった運動会の写真で一緒に並んでいたのを見てもいまひとつ盛り上がらないまま話題にすらならない夫婦であった。
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