コケシ愚行禄

 
 
第2回
 
                              文:コケシドール(G) 蹄沢由美子
 
 
 
 
 
≪ 二人だけの爆音パンク ≫
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
さて、ドラムが脱退してしまったコケシドール。
 
ネットにメン募を打つも、いっこうに反応はない。
 
「30才ドラマーです。パンクっぽいバンドで叩きたいです。」
 
などと自ら加入を望んでいるような男にメールを出しても、
 
「なんか考えていたのと違うようですので、お断りします。」
 
とつれないお返事。
 
 
 
 
 
ここで普通なら、じゃあドラムが見つかるまで休もうか?となるのだが、
 
「そんなものは自然消滅への言い訳にすぎない!ドラムがいなくたってライブはできる!燃えつくせ!」
 
などと狂ったことを言い出す奴がいるから困る。
 
 
 
 
 
俺だが。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
で、20世紀最後の年末。
 
 
 
 
 
俺と社長は新宿ミントンハウスへと向かっていた。
 
当日はドラムだけでなくベースまで欠席。
 
そんな状態でなにをやるのだ?
 
わかったアコースティックだな!?
 
♪おまえはひとりでー死ぬのかあー、
 
 
 
 
 
ではない。
 
 
 
 
 
PS-02という小型マッシーンにピコピコどドラムを入力、
さらに前もってベースをラインで録音してもらい、
こいつをバックにギターとボーカル二人だけの爆音パンクをブチかまそうというのである。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
止めろよ誰か。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
どうなるものかとリハをやってみると、意外とまともに聴こえる。
 
調子に乗ってもう1曲もう1曲とリハを続ける我々。
 
店員も身を乗り出して見守る。
 
いけるぞ、これは!
 
俺達は突然段ボールだ!(←違います)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
さらにリハを繰り返し、意気揚々と店の外に出てみるとそこに一枚のホワイトボードが。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「本日の出演:コミックバンド」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その時俺の頭に浮かんだのは「酒が酒が飲めるぞー酒が飲めるぞー」のバラクーダーだった。
 
 
 
 
 
     (こんな話がまだまだ続く)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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