コケシ愚行禄
第1回
文:コケシドール(G) 蹄沢由美子
≪ や、やってらんねえよっ ≫
よく、ファーストライブにこそバンドの本質は現れる、などと言われるがコケシドールの
ファーストライブはまさにその本質である「不毛」を完膚なきまでに体現したライブだった。
2000年7月、超満員(!)の西荻窪ビンスパーク。
対バン(ゆっるーいナゴミ系ギャルバン)の関係で、観客の9割は体育座りした普通の女子高生!
そこに黒のパンスト顔面着用で現れた俺。
当然の如く沸き上がる「キモい!」のつぶやき。
ええぃやっちゃえ!とギターをかきむしると、顔面黒塗り・黒の全身タイツに学生服を羽織った
社長がケケケと笑って大登場!!
もはや声すら出ない客に呪詛度満点に大絶叫!
「うおーれーのそんざいをー!あーたーまーかーらー!!」
ああ、なんかもう書いてて頭いたくなってきた。とにかくまあ、そんなライブだったのだ。
曲が進むにつれ、体育座りの膝の間に顔を伏せはじめる少女達。
そんな彼女達にはおかまいなしで、本人達だけ大炎上のオリジナル・コケシドールは、
SS顔負けのハイスピード&ハイテンション!!
しかし、なんのために!?
最後の曲、撲殺(確実にオリジナルの3倍は速かった)を終え店の外に出た社長は、
汗まみれの黒い顔で俺に向かって叫んだ。
「や、やってらんねえよっ!!」
その後登場したギャルバンに、客は救われたように総立ち&大熱狂。
ギタリストが
「あ、あたし、バンドやっててよかったです!」
とステージ上で落涙するほどの盛り上がりとなった。
一方その頃、コケシドールの打ち上げは大荒れ。
最後には西荻窪駅前で警官に羽交い締めにされるオチまでついた。
直後ドラムが脱退。
大人として非常に賢明な選択であったと、今さらながらに思う。
(続く)
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